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風の歌声

毗曇&男前を愛する萌えブログです♪

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SS私のピダム 道行き4

 07, 2012 23:16


GW明け、今日は五月晴れの清々しい一日でしたねー♪

今回の「SS私のピダム 道行き」はトンピの新緑の中でのデートをイメージして書いて見ました。







ピダムと手を繋いで並んで歩く。

それだけで女王の心は弾んだ。

宮殿では決して許されない、二人だけの幸せな時。

月見台のある建物から離れ、女王の額が少し汗ばんだ頃に其処に到着した。

ピダムが木戸を開けると鬱蒼とした木々の間に小川が流れ、手入れの行き届いた苔むした庭が現れた。

ふぁさっと涼やかな風が何処かから流れ込んできて顔を撫でていく、女王は目を閉じて思わず深呼吸をした。


(なんて気持ちが良いのだ!)


「陛下、お気に召しましたか?」


ピダムが穏やかな顔で語りかける。


「ああっ、とても良い庭だな。此処もお前が作ったのか?」


「はい、元々あった庭に少し手を加えただけです」


「元々あった?と言うことは、此所は誰かの屋敷であったと言うことか?」


「左様にございます。元々は貴族の持ち物でした」


「ピダム、それ以上は説明しなくても良い。どうせろくでもないことがあったからお前の持ち物となったのだろうから…」


「御意のままに…」


ピダムは口の端を上げて微かに笑った。


平たい石を組み合わせて作った歩道を歩んでいくと木陰の下に縁台があった。

庭にはそのような縁台が幾つか用意されていて、女王がその場所の景色に飽きると次へと移動して行った。

更に進むと東屋があり、水菓子と飲み物が用意されていた。


「陛下、喉が渇いていませんか?此方で少し休んでから参りましょう」

そう言ってピダムが硝子の杯に入った鮮やかな赤紫色の飲み物を女王に手渡した。

女王はそれを受けとると、それが西方の飲み物「葡萄酒」だと解った。

半分ほど飲んだ所で

「ピダム、これは葡萄酒であろう?色も香りが良いな…何処でこれを手に入れたのだ?」


ピダムはにっこりと微笑みながら

「それは秘密です」


「何、秘密だと!」


「はい、秘密です」


ピダムの意地悪に女王は頬を幾分膨らませながら

「もう良い、聞いた私が愚かだった。此処にいる間はお前のすることに口を挟むのは止める。そしてお前の考えた趣向を楽しむことにしよう。さあ、ピダム、次は何で私を驚かせてくれるのか?」


「そうですね、もう少し此所で時を過ごしてから…この屋敷は時の移ろいと共に過ごす場所を変えると面白いものに出会えるように造られているのです」


棗の砂糖漬けが盛ってある器を女王の前に置きながら

「陛下、棗の砂糖漬けです。甘くて美味しいですから、どうぞ沢山召し上がって下さい」


ニコニコしながらピダムがそう言うので、不思議に思った女王は

「ピダム、私がこれを食べるとお前は何か良いことがあるのか?」


「はい、陛下。棗は滋養にも良く、食べるとその…」


「その、何だ、ピダム?」


「はい。つまり身体がふっくらするのだそうです」


「ピダム、お前…」


女王は笑いだした。ピダムも釣られて笑いだす。

そんな他愛ない会話をしながら二人は暫くの間木漏れ日の差し込む庭先で楽しい一時を過ごした。




**

時は過ぎ…日が中天より少し落ちた頃にピダムは女王と共に庭に隣接した建物へと足を踏み入れた。

其処には宮殿の書庫と同じ位の蔵書が並び、隣の部屋には何輻かの絵が架けられていた。

女王は驚きながらも蔵書の一つを手に取ると文字を追い始めた。

ピダムは女王が読書に没頭してしまう前にと、声を掛けた。


「陛下? 陛下…」


「ああっ、ピダム、何だ?」


「陛下が何よりも読書がお好きなのは存じております」


ピダムはにっこりと笑いながら

「私は暫くの間、陛下のお側を離れますので、どうぞ日が西の空に傾くまで此方でお好きにお過ごし下さいますように」


女王は少し戸惑った顔をした。

「だがピダム、朝方お前は一日中、閨で過ごしたいと申したのに…本当にそうして良いのか?」


「はい、陛下。いえ、陛下。ピダムの本心は陛下とずっと閨で過ごしたいと言っておりますが…実際のところ、行幸や宮殿の様子も気になりますので…」

そう答えたピダムはいつもの司量部令の顔をしていた。


「そうであったな。私は此処に居てはならぬのだから。全てお前の良いように…」

女王は頷きながらそう言った。


「では陛下、失礼致します。何かありましたら、そちらにある鐘を鳴らして下さい」


「ああっ、解った」

ピダムが戸口で最後に自分に柔らかな眼差しを送ってから退出するのを見送った女王は、幾重にも並ぶ蔵書の棚を端から端まで見て回ることにした。

新羅の本は元より、ローマや西方から伝わったらしい本や百済・高句麗・唐…更には伽耶の本もあり、女王は自分が思っていた以上の強大な権力をピダムが握っていることに少し戦いた。

ピダムがもし自分を王の座から引き摺り落とそうと試みるなら、それは十分に可能なことかもしれない。

王は常に周りを警戒して生きねばならない。

本来、王たる者は孤高の道を一人で歩まなければならない。

そんなことは十分承知している、そう思っていたが…

いつの間にかピダムが心に入り込んで、今ではピダムがいなければ生きられないほどにピダムを必要としている。

だからもしピダムに王座を奪われるなら、その時は愛も命も同時に終わると言うことだ。

それならそれで良いではないか。

ピダムを信じ、ピダムを愛して生きる。

そう決めたのだから…

女王は背表紙にローマ語で「愛について」と書いてある本を手に取って頁を捲った。

古今東西、愛に悩む気持ちは同じなのだと思うと心が軽くなったように思えた。

そうして心の赴くままに、女王は読書を楽しみ…


窓からは刻一刻と西の彼方に沈み行く太陽が作り出す茜色の残光が射し始めた。

ピダムが姿を現すまで今少し。









☆続きます。

最後までお読み下さり、ありがとうございました(^з^)-☆

道行きはトンピの蜜月旅行なので、まだまだ盛り沢山に描きたい管理人です(笑)

欲張りすぎて話が纏まらなくなったら(((^_^;)

いえ、なんとかします!なんとかなるでしょう!!

何事も前向きに、陛下を見習って♪(ご褒美はピダムのハグで(爆)









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COMMENT 2

Tue
2012.05.08
07:41

うさこ ̄(=∵=) ̄ #HuG4J.mM

URL

愛と不安と真心と

テヤン様、おはようございます

今日はいい天気になるかなー?

>だからもしピダムに王座を奪われるなら、そ の時は愛も命も同時に終わると言うことだ。

という部分がとても意味があるように感じました。
そういう不安を内包したうえでなお彼への愛情を禁じえない…。
ピダムにとっては女王への真心は変わりはないがたしかに彼を王位へとの母ミシルの思いもどこかで消せずにいるのかな…
とか ̄(=∵=) ̄妄想しちゃいました。


>何事も前向きに、陛下を見習って♪(ご褒美は ピダムのハグで(爆)

えー?ナムギルさんのハグでは!?
ハグですむかな(笑)
 ̄(=∵=) ̄そのときはこっそり見学して追い出されるまできっとメモります(爆)

では続きを楽しみにまっていまーす。

おっと、お仕事、お仕事、行ってきまーす♪

Edit | Reply | 
Tue
2012.05.08
17:53

テヤン #s6bbxX4M

URL

五月晴れと洗濯物とナムギルLOVEな一日

 ̄(=∵=) ̄様へ


こんばんは(^o^)/

ご訪問&コメントありがとうございますm(__)m



>今日はいい天気になるかなー?

なりましたねー(^o^)v
今日はお洗濯物が良く乾きました~
爽やかな一日でした。



>>だからもしピダムに王座を奪われるなら、そ の時は愛も命も同時に終わると言うことだ。
>という部分がとても意味があるように感じました。
そういう不安を内包したうえでなお彼への愛情を禁じえない…。
ピダムにとっては女王への真心は変わりはないがたしかに彼を王位へとの母ミシルの思いもどこかで消せずにいるのかな…
とか ̄(=∵=) ̄妄想しちゃいました。


今回も  ̄(=∵=) ̄様 す、鋭い!!!
実は「母の日」に向けてミシル絡みのSSを書き始めました。
それを書いている内にピダムってミシルのことどう思っている(た)のかなぁ~と。
テヤンも色々妄想しちゃいました(笑)
この親子は絵になるし、SS色々書けるかも。なんてf(^_^;
midorin様のところのトンピのように、トンマンがピダムの子どもを産んでくれると全てが解決するんですけどねー♪(midorin様、お名前出させて頂きました)
トンマン、うちでも産んでくれないかな…



>えー?ナムギルさんのハグでは!?
ハグですむかな(笑)
 ̄(=∵=) ̄そのときはこっそり見学して追い出されるまできっとメモります(爆)

ハグだけでも心臓バクバク、ドキドキ(((^_^;)
手と足が同時に出ちゃう、あの緊張状態に陥ること間違いなし!
テヤン、こう見えて割りと純情なんです(←えー(笑)

 ̄(=∵=) ̄記者様も一緒にお茶でもしましょう♪
折角なので記念写真を撮って下さいませんか?
 ̄(=∵=) ̄様のうさ手でもシャッターは大丈夫ですよね?


>では続きを楽しみにまっていまーす。

楽しみにしてて下さい(^O^)
たぶん、またきっと深夜営業ギリギリの展開にもう一度なるようにピダムをけしかけてますから(爆)
ピダムが意気地無しになったら、陛下にお願いする予定でーす。

また遊びにいらして下さいねー(^o^)/


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