FC2ブログ

風の歌声 ピダム&男前を愛する管理人の萌えブログです♪只今、三生三世の夜華&香蜜の旭鳳に夢中。

SS煉獄の佳人(れんごくのかじん)

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

スポンサーサイト

SS私のピダム エピローグ


眉よりも細い月が今にも消え入りそうに凍える夜。

その凶報はもたらされた。

隣で眠っていたピダムはそっと起き上って上着を羽織ると廊下に出て使者の話に耳を傾けている。

何かが起こったのだ。


ピダムがアルチョンを始め、女官長らを呼んで何やら大声で指示を出しているのが聞こえる。

辺りがザワザワし始めた。

指示を出し終えたピダムが女官を従えて寝室に入って来るなり


「陛下。急いでお支度をなさって下さい」


と言い、再び廊下へと出て行った。


女官に促されて支度をしながらも先ほどのピダムの神妙な顔が頭から離れず、

頭の中でゴウンゴウンと音がして身体が小刻みに震えた。

支度が終わり、暫くすると上大等の正装に着替えたピダムがやって来た。


「陛下。お召し替えはお済みでしょうか」


女官が戸を開けるとピダムは早足で私に近付き人払いをするように私に願い出た。

いつものように私が片手を上げると女官たちは潮が引くように消えて私はピダムと二人きりになった。


「陛下。落ち着いてお聞き下さい。謀反が起きたようです」


ピダムの顔から血の気が引いているのが解る。


「誰が謀反を起こしたのだ?」


「…ユシン公です」


答えを聞いてその場に倒れそうになった私をピダムが支えてくれた。


「ユシンが…何故?」


「詳しいことは解りませんが…ユシンは陛下を弑し奉り 、スンマン公主様を新しい王にしようとしているようです」


「何!」


「陛下。ここに居ては危険です。いますぐに月城から脱出してサンタクらと共に落ちのびて下さい」


「お前はどうするのだ?」


「私は明活城に陣取り、ユシンと戦います」


「駄目だ。ピダム。軍権はユシンに掌握されている。戦っても勝てはしない。私と一緒に行こう」


「陛下。それでは二人ともユシンに捕まって殺されてしまいます。 私が囮になって時間を稼ぎますから陛下はどうか一刻も早く遠くに倭にお逃げ下さい。手配はしてあります」


「嫌だ。嫌だ。嫌だ。ピダム。絶対に嫌だ」


私は首を横に振りながら子どものように泣いた。


「陛下。今暫らく…今暫らく上大等ピダムとしての時間を下さい。」


「陛下。何卒、陛下の王剣を私に下賜願えないでしょうか?」


何時もよりも尚低く響く声音でピダムはそう言い、私の膝元に傅いている。

部屋の一番奥に飾ってあったそれを手に取りピダムへと差し出す。

百済との戦いで私はそれをピダムではなくユシンへ差し出したのがついこの前のように思えた。

王剣を受け取るとピダムは静かな面持ちへと変わり

その身には新羅の剣神と言われた頃と変わらぬ覇気を纏っていた。


尚も涙を流し続ける私の頬をそっと両の手で包むと

「陛下……いや、トンマン。俺はお前の為に生きて来た。王としてのお前を護り、その横に立ってお前を支える。それが俺の人生だった。お前以外の何も要らない…だから最後までお前を護らせてくれ。俺の為に生きてくれ」


「…ぇ…嫌だ…嫌だ……ピダム」



ピダムは女王の仮面を外してトンマンとして泣きじゃくる私を困った人だというような目をしながらギュッと抱きしめてくれた。


(ピダム。お前のいない人生に何の価値だあるというのか…覇道という孤独な道の先に光を灯し続けてくれたお前がいたから私は今日まで生きて来られた)


私の心の内を知ってか知らずかピダムは優しく言葉を噤む。


「トンマン…愛している。愛しているよ」


私はピダムが耳元で囁く言葉に震え、その言葉を頭の中で何度も反芻した。


(トンマン…愛している。愛しているよ)


ピダムは蕩けるような口付けを何度も私に落とし。

その一つ一つを私は必死になって受け止めた。

ピダムの全てを心と身体に刻みつけて置きたかった。

そうして魂を込めた最後の抱擁を終えるとピダムは私の身体をそっと離して、

外で待っていたアルチョン等を呼びよせ命じた。



「陛下をお連れ申せ」


私がピダムの声を耳にし、ピダムの姿を見たのはそれが最後となった。





***

暗闇の中で一人目覚めると忘れられない愛しい男の姿を探す自分がいる。

私が生涯で唯一愛した男。

命を掛けて私を護り通してくれた男。

その存在の全てで私を愛してくれた…私の愛するピダム。




「トンマン…愛している。愛しているよ」


枯れ野に佇む私をピダムの声が風のように撫でて行った。




SS私のピダム  後朝の別れ



冬晴れの澄み渡った紺碧の空に雲が一つぽかりと浮かんでいる。

遠い海原にいるであろう愛しい女に想いを馳せながら、ピダムは眩しげにそれを見上げると、戦の最中で有りながら自然と心は和み余裕さえも感じられる。

自分は此処で何をしているのだろう。その疑問に答えは直ぐに返って来る。

女王に従い、共に歩んで来た戦友であるユシンと戦う為とは…

片方の口の端を上げてピダムは苦笑した。


(ユシン、お前が陛下より伽耶を選ぶとは…)

女王を支え新羅の双璧と言われたユシンとピダム。

女王を愛していたのは自分だけではなかった筈なのに。

そのユシンが女王に対して謀反を起こしたことをピダムは未だに理解出来ずにいた。



中庭に一人佇むピダムの元へヨムジョンがやって来て


「陛下は無事に神国を出られたそうです」

と報告をした。


報告を受けたピダムの顔が一瞬パッと明るくなったのをヨムジョンは見逃さなかった。


「上大等、吉報と合わせて凶報もございます。地方の貴族達の動きをユシンに封じられてしまいました」


「何?ユシンめ。やるではないか…だが…陛下が神国を脱出なさったのなら構わない。いつでも覚悟は出来ている」


「上大等…上大等も脱出なさっては如何ですか?」


「だが…そうなるとユシンは私ではない誰かに罪を押しつけるに違いない。アルチョン等に害が及ぶのは私が我慢ならぬ!」


「上大等…」


「とにかくギリギリまで奴をこの明活城に引き付けろ、陛下が此処にいると思わせて」


「はい。解りました。上大等」


命令を受けたヨムジョンが去って行くのを見送った後もピダムはその場に留まり、相変わらず雲を眺めている。


「陛下…ご無事に船出されたようですね。ピダムはこれで思い残すことは御座いません。どうかご無事で」



(この想いをどうか届けてくれ)

ぽかりと浮かんだ雲にピダムは語り掛けるようにそれだけ言うと自室へと戻って行った。





***

冬の海は荒れに荒れていた。

トンマン達を乗せた船も然り。

大きなうねりに翻弄されて、今にも波に飲み込まれてしまいそうだ。

ギシギシと船が軋みドーンと打ち付ける波の凄まじい音に眠れずにトンマンは寝台に横たわっていた。

眠れぬ理由はそれだけではなかった。

毎夜、隣で眠っていたピダムの温もりがないのが心細くて寂しくて寝付けずにいたのだ。


「ピダム…どうか無事で居てくれ」


気が付くとトンマンは白い敷き布をギュッと握り締めて居た。


(ピダム…ピダム…ピダム…)


ピダムの名を呼び、身も心も焦がし疲れたトンマンはいつの間にか眠りに落ちて行った。






moblog_b7d44e05.jpg


ピダム此処にいたのか・・・


「陛下…」


上大等の紫色の衣を着たピダムが手をさしのべている。


「何だ?ピダム。何かあるのか?」


不思議そうに女王が首をかしげると


「陛下。御手をどうぞこちらへ。ピダムへお預け下さい…」


おずおずと女王がピダムの手に己の手を重ねると、ピダムはそっと女王の手を握った。


「陛下。何も御座いません。ただ私が陛下の御手を握りたかっただけです」


そう言うとピダムはきらきらと瞳を輝かせてニッコリ笑った。

釣られて女王も微笑みながら


「ピダム…お前は変わらないな。その真っ直ぐな心でどんな壁をも乗り越えて来る…そんなお前が私は好きだ」



「好き…なだけですか?愛してはいないのですか?」


ピダムは少し意地悪な言い方をした。



「ああっ好きなだけだ」


女王があまりにそっけなく答えたので、

ピダムは女王の手を引っ張り自分の胸に閉じ込めてこう言った。



「陛下は嘘がお上手になられました。私は時々それを見ているのが辛くなります。どうぞ私と二人きりの時は本当の心を見せて下さい」


そう言うなり唇を奪い女王の息を奪った。

女王の口中はピダムの舌で執拗にかき回されて、女王は次第に身体が熱くなるのを感じて


「ああっピダム…お前の言う通りだ…私はお前を愛している」


そう言って自分を抱き締め返してくれる女王が愛しくて。

ピダムは女王を抱き上げた。


「陛下…今宵もピダムに伽をお命じ下さいますか?」


「ピダム…伽などと言うな…私がお前と閨を共にしたいのだ。もうこれ以上は言わせるな!ピダム…」


少し拗ねた女王の姿を見たピダムが、それ以上はない優しい目をして言った。


「陛下……陛下……愛しています」



夢の中でさえお前に(陛下に)会いたい。

互いを想う心は現世の仮の姿を離れ自由に夢を行き来する。

後朝(きぬぎぬ)の別れが二人を分かつその時まで…





SSS私のピダム 夢と現の狭間で


今日は暖かい1日でしたね♪

花粉も沢山飛んでました。

誰かがどこかで必ずくしゃみをしてました(笑)

更に管理人は昨日携帯からスマホに変えたばかりでまだ上手く操作が出来ません。

目は痒いわ!SSは書けないわ!

二重苦でした(爆)

なのでSSSになってしまいましたが…

皆様、どうぞこのお話は自分をトンマンに置き換えてお読み下さい。






「母上…」

ピダムに良く似た可愛らしい男の子が私をそう呼んだ。


「お前は誰だ?名は何と言う?」

そう問うと淋しそうに微笑んで、クルリと後ろを向くと走り出した。


「待って。行くな。もう一度顔を見せて…」

そう声を張り上げて叫んだ。




「陛下……陛下…」

ピダムの声が聞こえた。

「んっ。何だピダム」
そう言ったつもりだったが声にならなかったらしい。

私がうっすらと目を開けると心配そうにピダムが私の顔を覗き込んでいた。
夢を見ていたのか。

それにしても可愛らしい男の子だった。

私は目の前にいるピダムをじっと見詰めた。
やはり良く似ている。
見詰めているとピダムが言った。


「陛下…魘されておいででした。夢見が悪かったのではありませんか?」


「いや、その反対だ。とても良い夢だったのに直ぐに消えてなくなってしまった」


ピダムは目を輝かせて聞いてきた。

「どのような夢だったのですか?」


「秘密だ!」


「えっ、私には話せない夢だったのですか?」


「それも秘密だ!」


「陛下ぁ…」

甘ったるい声音で私にぴったりとくっついて来るこの男の姿を見たら、徐羅伐を牛耳り、人々から恐れられる鬼の司量部令だと誰が信じようか。
まぁそこが又可愛いのだが…ふふっ


あぁほら少し考え事をしていただけなのに、ピダムがその深淵の瞳を煌めかせながら私に顔を近付けて来るではないか…

私はそれにとても弱い。

ピダムが近付くだけで思考が止まり、女王としての感覚が消え、只のトンマンになってしまう。

だが月が夜空にある今だけは私はトンマンでいたいとも思う。

ピダムの唇が…私の唇を覆う。

…んっ…息が苦しい。
…あんっ

ピダムの舌使いは絶妙過ぎて…あっ…気持ちいい…



あの夢の中の男の子は誰だったのだろう。


明日起きたらピダムに話して見ようか?


そう思いたいのだが…
私の全てはピダムに絡め取られ…

そうしてあの男の子の夢も…記憶の底に沈んでしまう。


「…ピダ…ム…」


その腕の中では例え夢の中であっても、己以外の存在は許さないとでも言うように…
ピダムは私を激しく攻めたて
身も心もピダムの色に染めあげる。





SS私のピダム 香り高きその名は




1月記念として「私のピダム 香り高きその名は」をお贈りします。

少しばかり危ない表現と寺院や仏像・壁画に関しては管理人の想像等が入っております。

その点をご了承の上でお読みになって下さい。






極寒の荒れ狂う海を渡り、倭に辿り着いたトンマン一行は船の中で一夜を過ごし、翌朝都城難波宮へ足を踏み入れた。

都には滅亡した伽耶、百済や高句麗・唐からの渡来人が数多いてトンマン達を見かけても道行く人々は関心を示さなかった。

あまりにも易々と都入り出来た事をトンマンは驚いた。


(倭の都がこれほどまでに解放的だとは…渡来人がそれにしても多い。思っていたよりも都城の規模も大きく交易も盛んだ。仏教文化がどれ程の物か…見てみたい)

などと謀反の為に国から逃れて来た女王らしからぬ思いに耽っている。

トンマン生来の好奇心を刺激する程に難波には活気があった。




それから程なくして一行は難波の喧騒から逃れるように飛鳥へと向かった。

なだらかな山に囲まれたその地は恋しい男と過ごした徐羅伐にも似て。

一時その風景は悲嘆に暮れた女王の心を慰めた。

女王は飛鳥寺にある大仏に祈りを捧げるのを毎日の糧としていた。

そんなある日サンタクが女王に向かって


「奥方様、斑鳩にある法隆寺にあの方に似た仏像が安置されているそうです。一度ご覧になっては如何でしょうか?」


「……」


女王は何も答えなかったがサンタクは斑鳩詣での準備を始めた。





女王が重い腰を上げて斑鳩詣でをすると言いだしたのはそれから半月ばかり経っていた。

法隆寺へと続く参道を歩く女王にサンタクが


「此処は倭国の女性で初めて王となった推古女帝とその摂政だった厩戸の王子がお建になった寺だそうです。彼方に安置されている菩薩像はその厩戸の王子のお姿だと言われておりますが…あちら(新羅)から供として付いて来た者がピダム公に似ている、そう申すもので。奥方様にも是非ご覧頂きたく思いまして…」


サンタクの声は幾分震えていた。

仏像が安置されている伽藍に足を踏み入れた女王はその菩薩像を目にしてから魅いられたように一歩も動けずにいた。


(ピダム…)






月城、女王の執務室で女王がピダムに


「司量部令、私は武力で国を治めるのではなく、心をもって人々に安寧を与えたいと思っている。
どうすれば良いだろう?やはり仏の教えを使うのが良いのだろうか?」


「はい。陛下。人心を掌握するには救済と慈悲が必要不可欠と存じます。救済は既に農作機具の貸与、荒れ地の開墾、それ以外にも租税の免除などもされておられます。残る慈悲の心は寺を建て仏像や仏塔を造りそれを持って人々に仏の教えの素晴らしさを説けば宜しいかと…ピダムはそのように考えます」


「詰まりはこの徐羅伐の朱雀大路に一目で解るような壮大な規模の寺を建立しろと、そう言いたいのだな?」


「左様でございます。そしてそれは人心のみならず、他国に対しは神国の力を示すことになり得ます。陛下にとってこれ以上の政策は御座いません」


ピダムはそう言うとにこやかに笑った。


女王は頷くと


「宜しい、では寺の図面とその規模、塔もそうだが肝心な仏像の制作全てをピダム…そなたに一任する。着工の準備が整い次第、私にそれを告げよ!」


「はい、陛下。臣ピダム、御命を申しつかりまする」



それから一月が経った頃。

絵師と仏師を伴ったピダムが仁康殿を訪れた。


「この者達に陛下のお造りになる寺の仏像を作らせたいと存じます。恐れ多いこととは思いましたが…陛下のお姿をその仏像と致したく…陛下、私の望みをお聞き入れ下さいますか?」


「あい、解ったが……どうだピダム、私よりも美しいお前の姿を仏像にしたいと私は思うのだが…それでは駄目か?」


「陛下…」


女王の予期せぬ言葉に驚いたピダムに


「人はより美しい物に惹かれるものだ。ピダム…お前は私が出会った人々の中でも最も美しい顔と身体を持っておる。宮中の女官はお前のことを‘凍れる美貌の司量部令’と呼び、密かに騒いでいるのを私が知らないと思っているのか…私の望みこそを聞いて欲しいものだ」


満面の笑顔でそう告げる女王に逆らえるはずもなく…ピダムはこう答えた


「解りました。ピダムは陛下のお望みとあらば如何なることも致します。ですが陛下、それならば塔の内部を飾る壁画に陛下のお姿を模した天女の絵を描きたく存じます。此方はお受け願えますか?」






その夜、女王の閨は何時もよりも灯りが多く点され、女王はピダムがやって来るのを心待ちにしていた。


「陛下…入っても宜しいでしょうか?」

いつも通りのピダムの問い掛けにいつも通りに女王が


「入れ」


と短く答えると、髪を下ろし白い夜着の上に鈍色の上着を羽織った姿のピダムが現れた。

現れたピダムに向かって女王は



「ピダム…今宵はそなたの姿を堪能したいと思ってな。女官に命じて灯りを多めにした。女子の私がこんなことを言うのは作法に反するとは解っているが……ピダム…そなたの全てが見たい」



「陛下のお望みとあらば」


そう言うとパサリっとピダムは着ていた衣を全て床に落とした。


「やはり美しいな…お前は現世(うつしよ)に降りた神そのものだ。そんなお前を私は誰にも渡したくない。いや…出来ることなら他の誰の目にも触れさせなくない…」


うっとりとした眼差しで女王はピダムにそう言うと



「陛下…それは違います。私にとって、いえ神国にとって陛下こそが生きる神そのものなのです」


「陛下…私にもそのお美しい御体を見せて頂けないでしょうか?」


ピダムは女王に歩みより口付けをしながら夜着の帯を紐解き、夜着をスルリと肩から外した。

女王は微かに「あっ」と言ったがピダムの熱い口付けと抱擁にあらがうことが出来なった。



「陛下…なんとお美しい」


ピダムは女王の顔をそっと撫で、首から肩へ、そしてたわわな乳房を経て身体の線に沿って手を滑らせて行った。


「私こそ陛下の全てをこの目とこの身体に焼き付けたく思います。今宵はピダムの無礼をお許し下さい」


そう言うとピダムは女王を寝台に押し倒して女王が息もつけぬ程の快楽を与えた。

女王は仏の化身と交わり、幾度も天に上ってはその光に包まれ、至上の幸福を味わった。






目の前の仏像は芬皇寺のあの仏像を模したものに違いなかった。


「ピダム…お前の考えた神国の威信はここまで届いていたぞ」


女王は愛しい男の面影を宿す美しい仏像をずっと眺め続けた。


仏の名を冠する香り高きその名は…



今も女王の胸に生き続けている。


SS私のピダム 香り高き女帝の塔



今日は昨日までとうって変わって穏やかな日差しが降り注いでいますね♪

4月2日からテレビ東京で始まった「善徳女王」を2日ぶりに観てからPCを開きました。

子トンマン強し!!!

元気はつらつ○○○見たいな感じがとっても良いですねぇ~~

トンマンから元気を貰いました(*^^)v

ふっとピダムと小さい頃から一緒に育っていたら、元気な二人、三韓統一も出来たんじゃない!!!

とか思ってしまった管理人です。


今日のお話は「私のピダム 香り高きその名は」の姉妹作?シリーズ?のような内容です。

今回も仏像や絵画、建築物等に管理人の想像がかなり盛り込まれているので、ご理解の上お読みになって下さい。







のどけき春の穏やかな風に乗ってピダムの声が聞こえて来た。

女官と何やら話しているらしい。


「だから……こちらを下に……しろ」


「…ですか?」


いつものようにピダムが自分を訪ねて来たのだろうと思った女王だったが…

暫く経ってもピダムはやって来なかった。


(私に会いに来たのでは無かったのか…)

少しばかりそれを寂しく思った女王だったが机の上に積み上げられた書類の一つを取るとそれを拡げた。

塔の設計図だった。

遥か遠くの西国から伝えられた石造りの塔の設計図。

タクラマカンからやって来た女王には何処か懐かしい感じがした。

図面を下から数えると

(1、2…9層もあるのか…どれ程の高さになるのだろう)

女王はそれを考えるだけで胸が高鳴った。




***

1月程前にピダムと民心の救済政策について議論をし、それを元に便殿会議で大等たちにも了承を得、今ようやっと寺の配置図、塔の設計図、仏像の絵図、内部の装飾図の下絵等が出揃ったところだった。

後はピダムが礼部と相談して着工の日取りを決める手筈になっているのに…

何故今日は姿を見せない?

女王は図面を持ちながら小さな溜め息をついた。

そうこうする内に昼が過ぎ。

女官長が女王の側にやって来て


「陛下…本日はお天気も良く桜もだいぶ開いた模様です。昼のお食事は内苑の桜の側でお取りになられては、とピダム公からおおせつかっております。如何なさりますか?」



「ピダムが…」


女王は少し驚いたが衣替えをするように女官に命じ、化粧も直させ、ほんのりと紅をさした。

見慣れない髪飾りを刺そうとする女官に


「その髪飾りは見たことがないが…」


女王はそう口にすると女官は


「ピダム公が朝方お持ちになり、つけ方もご指示されてお帰りになりました」


「そうか……つけて見てくれ」


金で象られた桜の花の真ん中に紅い石と小さな真珠が5つ組み込まれた対の髪飾りをカチェに刺した女王は何時にも増して華やかな姿となった。準備が整い、女王は仁康殿を後にした。


涼やかな風がそよそよと吹く渡り廊下を歩いていると自然と気持ちが軽くなり、内苑に着く頃には穏やかな顔になっていった。

桜の樹の側にピダムが立っているのが見える。

紅い紗を掛けた卓の上には昼の膳が並び…其処から少し離れたところに白い布で覆われている別の卓があった。


(あの下には何があるのだろう?……ピダムがまた私を驚かそうと何かを隠しているに違いない)


そう思いながらも春の柔らかな陽光を浴びた女王は胸一杯に息を吸い、邪心を捨ててその場を楽しむことにした。


(ああっなんて気持ち良いんだ)


そうして其処に立って自分を待っていたピダムに声を掛けた


「ピダム…待たせたな」


「いいえ。陛下…ようこそおいで下さいました。そちらに簡単な昼膳もご用意致しました。どうぞ此方で桜を愛でながらお楽しみ下さい」


そう言うと女王の椅子を引き、女王を卓に座らせると向かい合わせに自らも席に着いた。


「気持ちが良いな…ピダム…」


「はい。陛下」


「ところであの白い布なのだが…あれは一体何が隠れておるのだ?」


「気になりますか?」


「ああっ、大いに気になる」


そう女王は言うなりクッスと笑った。


「本当は食事の後にと思っておりましたが……それでは陛下、恐れ入りますが此方へいらして頂けますでしょうか?」


女王は席を立ってピダムと共に白い布の被された卓の前に立った。

ピダムがファサッと白い布を外すと現れたのは寺の模型だった。

勿論あの9層造りの塔もある。

思わず女王は感嘆の声を「ああっ」と上げた。


「陛下…お気に召しましたか?」


ピダムが自信あり気にそう問い掛けると


「勿論だ!ピダム…あの図面がこうなるのか…完成が待ち遠しいな」


「それはようございました。陛下のお気に召した寺であれば民も他国も魅了されるに違いありません。ではこのまま着工致したく存じます。来月8日に祈願祭を執り行うことで宜しいでしょうか?」


女王は満足気に笑うと首を縦に振った。





***

それから2年の後。

「芬皇寺」は完成した。空高く聳える9層の塔も。

伽藍に安置された如来像は黄金色に輝きその美しさは見る者全てを圧倒した。

塔は石を固めて造られ、その規模と高さは他を寄せ付けない存在として民の間に広まった。

そして民を最も惹き付けたのは…塔の内壁に描かれた天女の図だった。

裸の女性が羽衣だけを羽織り手には琵琶や笙を持ち、此方を向いて微笑んでいる色彩豊かな絵だった。

女たちは音楽が聞こえて来そうだと感動し、男たちにとっては何とも悩ましい肢体で微笑む天女が眩しく思われた。



(私だけの天女様…)


そんな想いを心に抱く不埒な男を伴い女王はそれを間近で見ていた。


「ピダム…これはお前があの時描いた物を下絵にしたのか?」


「はい、陛下…」


「美しいな。民たちが騒ぐのも無理もない。お陰で参拝者は増え、自然に仏に帰依する者も増える。正に一石二鳥。ピダム…お前は本当に恐ろしい男だ!」


ニンマリ笑う女王をピダムも満足気な顔で見詰めている。





***

その夜、女王の寝室を訪れた司量部令に女王は褒美を与えた。

司量部令は部屋に入るなり寡黙になった。

そんなピダムの様子に女王は尊大な態度で声を掛けた。


「ピダム…此方へ参れ」


ピダムは言われるままに歩を進めた。

女王の近くまで来るとその姿をまじまじと見詰めて言った。


「陛下…そのようなお姿をなされたら私が何をするか解らないですよ?」


女王は昼間の塔の天女のように透けるような薄衣一つしか身に着けていなかったのだ。


「ピダム…今宵はお前の好きなように振る舞うが良い。明日の朝、陽が昇るまで私はお前だけの天女になろうぞ」


ピダムは帯を緩めると着ていた物を全て脱ぎ捨てた。


女王に近付き、その耳元で妖しく


「陛下…きっと後悔致しますよ。今宵の私は阿修羅の如く留まることが出来そうにありませんから…」


そう言うと熱い吐息を掛けながら、しなやかながら鍛えられた身体で女王に覆い被さった。








最後までお読みいただきありがとうございました<(_ _)>

続きも考えていますが…阿修羅のピダムですから(^^ゞ

さてさてどういたしましょう(笑)

SS私のピダム 香り高き女帝の塔 おまけ

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

SS私のピダム 眸の奥の真心

この記事を閲覧するにはパスワードが必要です
パスワード入力

SSS私のピダム 縁(えにし)




録画しておいたテレビ東京版「善徳女王」昨日チョンミョン王女が亡くなってしまったんですね(涙)

管理人見ていて、とても悲しくなってしまいチョンミョン王女の死とトンマンの女王への決意をなんだか書いて見たくなって…

夕御飯を食べてから、ずっとポチポチとスマホ使って書いて見ました(^-^ゞ

勢いで書いたのですが、最後はやっぱりピダムLOVEなトンマンになってしまいました(((^_^;)

やーん、懲りない管理人f(^_^;

宜しかったらお読みになって見て下さい。







初めて『王になる』

そう決意したのは姉上が亡くなった時だった。

やっと会えた姉上。

私の双子の片割れチョンミョン。

薄暗い洞窟の中で神国の王女たる貴女がユシンにだけ看取られて亡くなった。

悔しかった。

何も出来なかった自分が情けなかった。

ただ、大声で泣くことしか出来なかった。

貴女の頬はまだ温かく、目を開けて「トンマン」と呼び掛けてくれるかのように唇が動きそうで…
なのに貴女は眠るように逝ってしまった。

どんなに怖かっただろう。

志半ばで逝かなければならなかったことがどんなにか悔しかっただろう。

私は叫びたかった。

「こんな理不尽なことが起こる、こんな国はおかしい」と。

貴女があまりに呆気なく亡くなってしまったのを見て…

私は、私はあのミシル璽主を倒し、神国にもう一度光を取り戻そうと決意した。







ピダム…

そう言えばあの時もお前は側にいたな…

姉上の毒消しの薬を取りに走った時もお前は側に居て私を助けてくれた。

其処にいるのが当たり前のように…お前は薬坊への道を先導して走り、馬も調達してくれた。

考えて見ればユシンとの駆け落ちの最中にお前と出合ったのも不思議な縁だった。


父王にミシルにウルチェ大等に命を狙われ、ユシンの父ソヒョンの部下に囲まれ、絶体絶命の時もお前は私を助けてくれた。

理由はともあれ、あの場にお前が居なかったら私は彼処で死んでいた。


ピダム、だからこれからも私の側にいてくれ。


そんなことを思い出していた夜半に女官が司量部令が色供の為にやって来たと知らせに来た。


「通すが良い」


私の言葉が終わるやいなや白い内衣に鈍色の上衣を羽織って髪を下ろしたピダムが部屋に入って来た。


「陛下…」


「ピダム、済まないが少しだけ待っていてくれ」


「はい」


私は手元にあった翡翠色の櫛を寝台の横にある箪笥にしまった。
その様子を見ていたピダムが


「その櫛はチョンミョン王女様の形見でしたね?」


「ああっ、そうだ」


「まだ、お忘れになれないのですね?」


「ああっ、恐らく一生忘れまい」


私が哀しい顔をしたのでピダムはゆっくりと私に近付いて


「陛下、私が死んでも覚えていて下さいますか?」


ピダムが真顔で不吉なことを言ったので私は驚いて


「ピダム、馬鹿なことを言うな。何故そんな不吉なことを…」


「いえ、ただチョンミョン王女様が羨ましかっただけです。陛下の心にいつまでも生き続けておいでなので…」


ピダムが子どものように拗ねているのが解ったので、私はピダムを抱き締めながら


「ピダム、私にはもうお前しかいない。父母も姉上もソファも皆亡くなってしまった。お前まで死んでしまったら私はどうすれば良いのだ?」


私の眸が揺れているのを見たピダムは


「陛下、申し訳ありませんでした。もう二度と死ぬなどと、不吉なことは申しません。お許し下さい」


そう言ってふわりと私を抱き締めると唇を寄せて来た。

(ああっ、安心する。ピダムの香り、ピダムの鼓動、ピダムのこの上もなく優しい口付け…お前が死んだら、私はお前を覚えているか。そんな質問はするな、ピダム。お前なしでは生きて行けない位にお前を愛しているから)


「ピダム…これからもずっと側にいてくれ」


ピダムがにっこり笑ってくれた。
そして私を抱き上げると寝台に向かって歩き出した。

今宵もお前が側にいてくれる。

これからもずっと…

ピダムの吐息とその温もりに包まれながら生きていけたら…

ピダム…









☆最後までお読み下さり、ありがとうございましたm(__)m

ピダム(ナムギル)のお顔が黒いー!

ファンデ(どうらん)塗りすぎちゃうかー!

なんて叫んでる管理人。いえ、なにやっても格好いいから良いんですけど(笑)

でも気になる(((^^;)

「なにすんだよ。言って見ろよ」って言う台詞を言った時のナムギルさんじゃなくてピダムが何だかとても可愛く思えた管理人。

リピートしまくってますo(^o^)o(←本当に懲りませんね)


女王になる→王になるに変更しましたm(__)m





SS私のピダム 風の歌声 -子守唄-




皆様、こんばんは(^o^)/

今日は『母の日』ですね~

そこで、母に関わる話を幾つかしたいと思います。

先ずはまたまた「傾城の皇妃」で(笑)

例のチーヨウ皇子と皇后の仲違いの原因が解りました!

チーヨウ皇子は生まれて直ぐに皇后から離されて育ちました。

王家のしきたりなんだそうですが、育ての母となった王の寵姫にチーヨウはなついてしまいます。

母である皇后は身を切る思いで泣く泣くチーヨウを諦めます。

そして20年が経ち。

その王の寵姫にそっくりなフーヤーが目の前に現れます。

皇后はフーヤーを亡き者にしようと企みます。

その一方で自分を殺せと訴えるチーヨウ皇子に涙ながらに訴えます。

「子は母の肉体の一部だ。お前を殺すことはできない」

そして皇后は部屋から去り、土砂不利の雨の中で「お前を愛しているのに」と泣きながら絶叫します。

何だか皇后が気の毒に思えました。

母の愛は深くて強い。

何とかこの二人の絆が再び結ばれるように管理人は祈りますm(__)m


この一家とは反対に我が家では… 朝目覚めると管理人の大好きなビールの箱がドカーンと置いてありました(管理人も一応母やってます(笑)

ああっ、平和な我が家(←いえ、色々ありますが)

日々の平穏な幸せが一番の幸せですね~

前置きはこの辺りにして…

今夜のSSはピダム&ミシル親子の関係を少しだけ書いて見ました。









春から夏へと季節がうつろい行くある晩、女王は見晴らしの良い楼閣で月を見ようと、その階段を登ろうとしていた。

三日月が足元を照らしているだけで辺りは闇に包まれた静寂の世界。

頬を撫でる風と共に歌声が聴こえてきた。

ピダムが楼閣の端に座って切ない声で恋歌を吟っている。


月の雫を掻き集めるには

金の器が必要か、銀の器が必要か…

君の心を留め置くには

金の器が必要か、銀の器が必要か…

そのどちらも留め置くのは難しく

暁が東に昇る刻、君は羽衣を纏い

褥を離れて天に帰る

君の面影を抱き締めて独り寝むれば

褥は泪の湖に変わる



女王がピダムの切ない歌声を聴いたのはこれが二度目のことだった。





***

まだ王座に着く前のミシルの乱の折りに初めてそれを聴いた。

一時は神国全土を巻き込んでの内乱に発展するかと思われた乱もミシルが自決したことで終結し大耶城は開城された。

そのミシルの自決を眼前で目撃したピダムがどういう訳だか自暴自棄になり、馬を走らせ失踪した。

女王は戦いの事後処理よりもピダムを追うことを優先した。

その時はピダムを追うことが最も大切なことだと直感したのだ。

その直感は当たっていた。

もしも女王がピダムの後を追わなければピダムは二度と女王の元には戻らなかっただろう。



moblog_a89d20bb.jpg





漸くピダムを捕まえて、枯葉が積もる山の拓けた場所でピダムを問い詰めた。

するとピダムは思いがけないことを口にした。

「母です。ミシルが私を産んだのです」

そして女王はミシルがピダムの産みの母であることを知った。

「ミシルが息子と認めないのに、どうして私がそれを言えましょうか!」

「それでも話して欲しかった」

「でも、話したとして…公主様にまで見捨てられたら…」

同時にピダムの孤独と深い哀しみを知ることとなった。




**

ミシルが亡くなったその夜遅く、大耶城の中庭で一人ぽつりと岩に座って星空を見上げるピダムの姿があった。

今にも泣き出しそうな潤んだ眼をしたピダムは膝を抱えた幼子のようだった。

そんなピダムの様子を女王は少し離れた所から見守っている。

耳を澄ますとピダムが小さな声で歌を口ずさんでいるのが分かった。



我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…

昼は日がな一日母の背で

夜は夜がな夜通し父母の間で

眠れぬ夜がないように

星屑を夢に振り掛けよう



柔らかい旋律と少し哀愁を帯びた歌声が女王の心に響く。

ピダムはミシルを想って吟っているのだろうか?

ピダムを捨てたミシル、そんなミシルを怨みながらも心の何処でミシルを愛していたピダム。

母と言う存在は人にとって格別な存在なのだから…

そんなピダムの心の内を彼是想像しながら、女王は育ての母ソファと過ごしたタクラマカンの夜を思い出した。

凍てつき乾燥した砂漠で実の母のように世話を焼いてくれたソファ。

女王にとって母と呼べる存在はソファしかいなかった。

幼い頃にソファが歌ってくれた西方の子守唄にも似たピダムの歌を聞いた時、女王は砂を鳴らして吹き去る風の歌声を聞いたような気がした。





***

あれから幾年…

今夜の歌声も風と共に女王の耳に届けられた。

天女のような愛しい女をずっと抱き締めていたい。

ピダムがその言葉を吟ったのを聴いただけで女王の五感は痺れ、心はピダムの元へと吸い寄せられていく。


「ピダム…此所にいたのか?」


「陛下…」


「久しぶりにお前の諳じる声を聴いた…」


「…」


「謹慎御苦労だった」


そう言ってピダムに満面の笑みを送った。


ピダムは司量部の文官と地方貴族の癒着、莫大な金額の公金横領の為に1カ月の謹慎処分になり、出仕を今日まで止められていたのだ。

その決定はピダムからしてみれば女王に拒絶されたようにも思えることだった。


女王はピダムに近付こうと一歩二歩と歩き出した。

ピダムは胸を押さえながら


「陛下、それ以上私に近付いてはなりません!今宵、私の胸の修羅が騒いで、自分が抑えきれそうにありません」

情欲に燃える眼を女王に送り、更に続けた


「実のところ、その修羅を慰めようと歌を吟っておりました」


女王はそんなピダムを包み込むような慈愛を湛えた眼差しで見詰め、その名を呼ぶ


「ピダム…私もお前に会いたくて…」

女王はゆっくりとピダムに近付き、あの日と同じように右手でピダムの頬を撫でると身体を寄せてピダムを抱き締めた。

ピダムは女王の右肩に顎を乗せて、やはりあの日と同じようにおずおずと女王の背中に腕を回して女王を抱き締め返した。


「陛下、陛下、陛下…」

ピダムは情欲を抑えきれずに女王を楼閣の床に押し倒すと、女王の唇や首筋、項に次々と口付けを落としていった。

女王は微かな矯声をあげながら、暫くピダムのされるがまま、身体をピダムに預けた。

袷を拡げて胸の谷間にピダムが口付けを繰返し、愛の証を刻み付けようと女王の皮膚を強く吸おうとした時、女王は吟い始めた。


我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…


ピダムの動きが止まり、女王の薄茶色の瞳を見詰めながら女王の諳じる歌に耳を傾けている。


昼は日がな一日母の背で…

夜は夜がな夜通し父母の間で…

眠れぬ夜がないように…

星屑を夢に振り掛けよう


女王はピダムの背中をとんとんと叩きながら、ピダムに吟い聴かせるようにこの上なく優しい声音で何度も吟い続けた。

暫くするとピダムは女王の胸に顔を埋めて泪を流し始めた。

女王はピダムに向かって


「ピダム…私は今宵お前の恋人であり母にもなろう。お前の想いを私にぶつけるが良い」


そう言ってピダムの頭を撫でるとピダムは顔を上げて


「陛下…もう一度吟って頂けますか?」

そうやっと言葉を絞り出すと女王の胸に再び顔を埋めた。

女王はゆっくりと吟い始めた。


我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…

昼は日がな一日母の背で


何故その歌を女王が知っているのか?

ピダムは不思議に思いつつも…

そう吟った女王の声の向こうにピダムは亡き母ミシルの風の歌声が聴こえたような気がした。

生まれて直ぐに自分を捨てた母ミシル。

母と呼ばせてくれなかったミシル。

だが、自分が決して愛されていなかった訳ではないことに薄々気付いてもいた。

殺そうと思えば殺せたのに、殺さなかった。

愛情と憎悪は同じところに存在する。

自分とミシルの関係は将にそれだ。

女王に抱かれながらもミシルのことを考えている自分。

ピダムはそれも許せなかったが、同じ想いを知る女王だからこそ全てを預け、全てを受け入れられることも解っていた。

心を重ねられる相手に出逢えた幸せは、結局はこの世に自分を産み出してくれた母がいてくれたお蔭なのだ。

それを少しずつ理解し受け入れることでピダムは成長する。

女王はそれを菩薩のように静かに見守っている。

今宵の褥では女王の大きな慈愛の翼がピダムを包み込んで、その身を雲の上の高みへと導く。

男の横たわる褥はその名の通り雲になる。


そうして、褥に眠る子らの上に母たちの吟う子守唄が時々風の歌声となって吹いて来る時があると言う。