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SS私のピダム エピローグ

 11,2012 01:19

眉よりも細い月が今にも消え入りそうに凍える夜。

その凶報はもたらされた。

隣で眠っていたピダムはそっと起き上って上着を羽織ると廊下に出て使者の話に耳を傾けている。

何かが起こったのだ。


ピダムがアルチョンを始め、女官長らを呼んで何やら大声で指示を出しているのが聞こえる。

辺りがザワザワし始めた。

指示を出し終えたピダムが女官を従えて寝室に入って来るなり


「陛下。急いでお支度をなさって下さい」


と言い、再び廊下へと出て行った。


女官に促されて支度をしながらも先ほどのピダムの神妙な顔が頭から離れず、

頭の中でゴウンゴウンと音がして身体が小刻みに震えた。

支度が終わり、暫くすると上大等の正装に着替えたピダムがやって来た。


「陛下。お召し替えはお済みでしょうか」


女官が戸を開けるとピダムは早足で私に近付き人払いをするように私に願い出た。

いつものように私が片手を上げると女官たちは潮が引くように消えて私はピダムと二人きりになった。


「陛下。落ち着いてお聞き下さい。謀反が起きたようです」


ピダムの顔から血の気が引いているのが解る。


「誰が謀反を起こしたのだ?」


「…ユシン公です」


答えを聞いてその場に倒れそうになった私をピダムが支えてくれた。


「ユシンが…何故?」


「詳しいことは解りませんが…ユシンは陛下を弑し奉り 、スンマン公主様を新しい王にしようとしているようです」


「何!」


「陛下。ここに居ては危険です。いますぐに月城から脱出してサンタクらと共に落ちのびて下さい」


「お前はどうするのだ?」


「私は明活城に陣取り、ユシンと戦います」


「駄目だ。ピダム。軍権はユシンに掌握されている。戦っても勝てはしない。私と一緒に行こう」


「陛下。それでは二人ともユシンに捕まって殺されてしまいます。 私が囮になって時間を稼ぎますから陛下はどうか一刻も早く遠くに倭にお逃げ下さい。手配はしてあります」


「嫌だ。嫌だ。嫌だ。ピダム。絶対に嫌だ」


私は首を横に振りながら子どものように泣いた。


「陛下。今暫らく…今暫らく上大等ピダムとしての時間を下さい。」


「陛下。何卒、陛下の王剣を私に下賜願えないでしょうか?」


何時もよりも尚低く響く声音でピダムはそう言い、私の膝元に傅いている。

部屋の一番奥に飾ってあったそれを手に取りピダムへと差し出す。

百済との戦いで私はそれをピダムではなくユシンへ差し出したのがついこの前のように思えた。

王剣を受け取るとピダムは静かな面持ちへと変わり

その身には新羅の剣神と言われた頃と変わらぬ覇気を纏っていた。


尚も涙を流し続ける私の頬をそっと両の手で包むと

「陛下……いや、トンマン。俺はお前の為に生きて来た。王としてのお前を護り、その横に立ってお前を支える。それが俺の人生だった。お前以外の何も要らない…だから最後までお前を護らせてくれ。俺の為に生きてくれ」


「…ぇ…嫌だ…嫌だ……ピダム」



ピダムは女王の仮面を外してトンマンとして泣きじゃくる私を困った人だというような目をしながらギュッと抱きしめてくれた。


(ピダム。お前のいない人生に何の価値だあるというのか…覇道という孤独な道の先に光を灯し続けてくれたお前がいたから私は今日まで生きて来られた)


私の心の内を知ってか知らずかピダムは優しく言葉を噤む。


「トンマン…愛している。愛しているよ」


私はピダムが耳元で囁く言葉に震え、その言葉を頭の中で何度も反芻した。


(トンマン…愛している。愛しているよ)


ピダムは蕩けるような口付けを何度も私に落とし。

その一つ一つを私は必死になって受け止めた。

ピダムの全てを心と身体に刻みつけて置きたかった。

そうして魂を込めた最後の抱擁を終えるとピダムは私の身体をそっと離して、

外で待っていたアルチョン等を呼びよせ命じた。



「陛下をお連れ申せ」


私がピダムの声を耳にし、ピダムの姿を見たのはそれが最後となった。





***

暗闇の中で一人目覚めると忘れられない愛しい男の姿を探す自分がいる。

私が生涯で唯一愛した男。

命を掛けて私を護り通してくれた男。

その存在の全てで私を愛してくれた…私の愛するピダム。




「トンマン…愛している。愛しているよ」


枯れ野に佇む私をピダムの声が風のように撫でて行った。




☆★☆★☆

ユシンファンの方には申し訳ありません。

「善徳女王の真実」を読んでピダムの乱が捏造だったかもしれない。

ということを知り、私のピダムの乱はこのような形になりました。

構想を練って最後の最後にエンディングを持ってくる手法と

最初にエンディングを見せて置いてそれに向かって突き進む手法が

あると思いますが管理人は後者を選んで見ました。

バッドエンディングです。

だからこそピダムとトンマンが出会い、愛をはぐくむ姿を

暑苦しい?イチャイチャで描いて行こうかと思っています。

どこまで描けるか解りませんが・・・お付き合いして頂けると嬉しいです(*^_^*)


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Comment - 3

2012.03.13
Tue
08:44

 #

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編集 | 返信 | 
2012.09.14
Fri
15:36

 #

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編集 | 返信 | 
2012.09.14
Fri
17:43

テヤン #-

URL

あるんですよ~


Iさんへ

> 善徳女王の真実?そのような本があるのですかっ!
初めて知りました!機会があれば読んでみます♪

あるんですよ~
キネマ旬報社から出ています。
『善徳女王の真実』キム・ヨンヒ著 クォン・ヨンス訳


> トンピ暑苦しいぐらいが好きです\(●^o^●)ノ
テレビが結ばれない結末だったので
ぜひ!ラブイチャさせてあげて下さい!

了解致しました(笑)
でもですね~こうやって色々書いたり何回もドラマ観ていると。。。
二人の間に何もなかったのか!!!って疑問が湧いてきてですね~
ずっとこのブログのSSを読まれて行くと…あらまぁなSS出て来ると思います。
ドラマでの二人の初夜。書いてます(#^.^#)
是非、感想をお聞かせ願えないでしょうか?


> いやーやっぱり陛下はトンマンとなる素の時がいいですね☆
陛下の時も好きですが、こちらの時は君主らしい振る舞いでピダムの前になると、その仮面は崩れますが・・
トンマンの方が素直なような…
まぁ、どちらも愛するピダムには萌えですわ(^_^)v

ずっと女王のままでいたら早死にしちゃいますから…
しかもあんな男前がいたら普通はねぇ~(あくまで管理人の主観です)


> そういえば。何故、下から(古い方から)
読んでいっっているのか不思議でしょうけれど…
やはり、最初から読むのがお話もわかるので…
古い記事から読まさせてもらっています(*^_^*)

とてもありがたいことです<(_ _)>
そうなんです!
結構前の作品の続編を最近書いたりしたので…
どうぞゆっくりお読みになって下さいね♪

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