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SS私のピダム ある晴れた日に


「あーーっ、やっと終わった」

トンマンは両手を上げて背伸びをした。

数日前からの雑務がやっと終わったのだ。

天気の善し悪しなど解らなくなる程に仕事に追われ、やっと周りを見渡すとカラリと晴れて爽やかな風さえ吹いているではないか。

トンマンはゆっくりと椅子から立ち上がると庭に出た。

侍女を従えて漫ろ歩いていると、咲いたばかりの白梅や芽ぶいたばかりの柳の小さな葉を見つけ、それらはトンマンの心を更に晴れ晴れとして行った。

草木にばかり目をとられていた為に、石段を昇るとそこにピダムとチュンチュの姿を見つけてトンマンは幾分驚いた。


「あっ…ピダム、チュンチュ、此処にいたのか」


ニコニコしながら二人に近付くとチュンチュが


「叔母上、お久しぶりです」


と持っていた木刀をピダムに押し付けて挨拶をしてきた。

ピダムはチッと言う顔をしている。


「チュンチュ、元気だったか?ピダムは良く教えてくれているか?」


「はい。叔母上。元気です。でも今日は疲れたのでもう終わりにしたいと思います。ピダムもう良いだろう?」


徐羅伐中の女性を虜にすると言う微笑みでそう言われたピダムの頬の辺りがヒクヒクしている


「そうか。チュンチュ、次は書庫で国史の勉強か?さあ早く行くと良い」


「では叔母上、失礼致します」


チュンチュが去るのを見送ってからピダムは口をへの字に曲げてボソっと呟いた。


「公主様はチュンチュ公に甘過ぎます!」


「そうか?」


ピダムの機嫌が頗る悪いと感じたトンマンはピダムに近付き、公主らしからぬ態度をとった。

肘でピダムをつつきながら上目使いで


「んっ、ピダムどうした?何を怒っているんだ?…どうだ、今夜久しぶりに一杯やりに行かないか?」

手を杯の形にして口に持っていくとピダムもそれと同じ仕草をしながら


「えへへへっ。公主様、何で俺がそうしたいってことが解るんですか?」

1分前まで怒っていたとは思えないような満面の笑顔で頭をポリポリしながらトンマンに答えると。

その変わり身の早さが可笑しくてトンマンが笑い出した。


「あはははっー。あはっあはっ」


「公主様?一体何がそんなに可笑しいんですか?」


「お前が…あはははっ…お前が面白いからだ、ピダム」


「えっ俺が?」


目を丸くしたピダムの表情がまたまた可笑しくてトンマンの笑いは止まらなかった。




***

申の刻に城から抜け出した二人は貴族の姫と護衛武者に扮装して徐羅伐に住む者たちの中に溶け込んいる。


「ピダム。今日は何時もより人出が多いような気がするが…何かあるのか?」


「はい。今日はこの近くで祭りがあるようです。どうです、行って見ますか?」


「ああ。お前が大丈夫だと思うなら行って見たい。危険はないのだろう?」


「はい。ピダムの側を離れないとお約束して頂けるなら」


「解った。約束する」


二人がそこに到着すると祭りは終盤に差し掛かりカンカンドドーンと軽快な音楽が鳴り響き、人々は楽しいそうに踊り歌っていた。

辺りには沢山の露店が並び商人たちは大声で客の注意を惹きつける。

その一つの店の前まで来るとトンマンが珍しそうに


「ピダム。あれは何だ?皆が美味しそうに食べるあの赤や黄色の…」


「べっ甲飴ですか?」


「べっ甲飴と申すのか…綺麗だな」


ピダムはその中の一つをトンマンの為に買い


「はい。公主様」


と言ってトンマンに手渡した。

花に蝶が止まっている美しい飴細工だった。


「ピダム、ありがとう」


「それにしても綺麗だな。食べるのが勿体無いくらいだ」


「いえ、是非お食べになって下さい。甘くて美味しいですから」

トンマンは飴をバリッと食べて見た。頬が落ちるほどに甘い。

ピダムがそれを嬉しそうに見ているのが解ってピダムに向かって


「お前も食べて見るか?」


するとピダムは


「俺は飴より公主様が食べたいです」


と言って深淵の瞳でじっと見詰めて来た。

トンマンは頬を赤らめながら


「何を言ってる、ピダム。怒るぞ!」

と言ってズカズカ歩きだした。

ピダムはクスクス笑いながらもトンマンを追いかけた。





大通りから少し入った酒屋の二階で飲み始めた二人。

トンマンはピダムの言葉を思い出す度に恥ずかしくなり、酒を浴びるように飲んだ。

ピダムはそれを黙って見ていたが…トンマンの目が座って来たのを見て酒瓶を取り上げた。


「ピダム、何をする?それを返せ」


「公主様、飲み過ぎですよ。もう止めた方が良いです」


「何を言ってる…私はまだ大丈夫だ。だから返せ」


ピダムは仕方なく瓶をトンマンに返すと


「ピダム。お前も飲め」


とピダムの盃に酒を注ぎ、己の盃にも並々と酒を注いだ。

しかし次第にトンマンの目蓋は閉じ始め、その内にスヤスヤと寝息を立て始めた。



「やれやれ、今日もお預けか…」


ピダムは苦笑いしながらトンマンに上着を掛け、薄紅色に染まった頬を愛しそうに撫でた。


「トンマン…」


その名を呼ぶとトンマンの花のような唇に濃厚な口付けをした。

トンマンは苦しそうな顔をしたが…

ピダムが唇を離すと再び眠りに落ちて行った。






☆★☆★☆

今日は花粉が沢山飛んだようで管理人は鼻がぐずぐずしていました。

そして今日がホワイトデーだったのもすっかり忘れて(笑)

机の上に家族が買って来たらしいクリスピークリームドーナッツが何故あるんだろう(・・?

と疑問に思っていました。

この記事を書いてやっと思い出し…一人でちょっとだけ笑いました。

「私のピダム」は多分これから時系列を行ったり来たりすると思います。

管理人自身がどの時代の何を書いたのか忘れそうで怖いです(^^ゞ

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