バレンタインデー企画 SS私のピダム 柊の花の如く 前編
皆さん、こんばんは~(^o^)/

今日はバレンタインデー

何もないのも寂しいと思ったテヤンさんは…

まだ『小夜鳴鳥』が完結していないのに…

正確には『黄金色の日々』も未完成(゜ロ゜;

あれ~~っとは思ったんですが…筋立てのあまりないラブラブなトンピが書きたいなぁ~って。

時々そういうモードになるんですよ♪

なので書いてしまいました(^-^ゞ

そして…この作品は拍手6000打記念リクエスト作品としてキリ番だった七緒さんの為に書き下ろしたSSでもあります(*^^*)


宜しかったら続きをぽちっとしてお読みになって下さいね~(^з^)-☆




春の女神の足音がもうそこまで聞こえて来そうな…
幾分寒さが和らいだ冬の晩に…
女王は天蓋に覆われた寝台に寝そべりながら同じように自分の隣で横になって此方を見ているピダムにこう語りかけた。


「なあ、ピダム…前にも同じことを言ったことがあるかもしれないが…」


ピダムは女王を穏やかな眸で見詰め、女王の銀糸の混じった艶やかな髪を指に絡めながら


「何で御座いましょう、陛下?」


そう言って黒曜石の眸を輝かせながら、にっこりと笑ったその顔がとても四十路を越えた男の顔には見えず…
女王はいつまでも若々しいピダムの張りのある頬に右手で優しく触れると


「うん、ピダム…儺(おにやらい・ついな)の時に鬼門に供える柊を見るとどうしてか、お前の顔が浮かんで来るのだ?どうしてだと思う?」


ピダムは不思議そうな顔をしながら


「えっ、鬼の面ではなくて柊を…ですか?あの刺々しい葉が私に似ていると、そう仰せになりたいのですか?陛下?」


幾分口を尖らせながらピダムは女王の身体を引き寄せると長い両腕を女王の背中に廻してぎゅっと力を入れ抱き締めた。


「ん、ピダム…苦しい…」


「陛下…私を刺々しいと思われるのなら…それならそうして差し上げます」


ピダムはそう言うとクスリっと笑って、女王を抱き締めたまま己の顎から少しばかり伸びた髭で女王の頬をざらりざらりと撫で上げた。


「あ、っぅ、痛いではないか、ピダム!」


女王が可愛らしい声をあげてピダムから逃げるように身を捩るとピダムは顔を離して満足そうに微笑んだ。


「陛下がお悪いんですよ!私のことを柊みたいに刺々しいって仰せになるから…だから私は柊見たいにこうやって…差し上げただけですよ、へ、い、か」


顎を突き出して尚も笑い続けるピダムに


「ピダム!」


と幾分声を張り上げてその名を呼ぶ女王。
ピダムにからかわれたことを怒りながらも心の中ではそれを喜んでいるようにも見える。
女王は気持ちを落ち着けようとするかのようにピダムの胸にそっと耳を充て血潮の巡るとくとくと言う音を聞きながら、暫くそうして目を瞑っていた。
するとピダムが女王の耳元に己の鼻の頭を充てながら囁くようにこう言った。


「陛下…お怒りになられたのですか?」


女王はゆっくりと目を開けてピダムを愛しそうに見詰めると


「いや、そうではない」


己を見詰める女王の眼差しの中に揺るぎない『愛情』を見つけたピダムは嬉しそうに女王に顔を近付かせながら


「陛下…では私の何処が柊なのか…本当に仰せになりたいことは何なのですか?お教え下さい」


キラキラと眸を輝かせながら彼是としつこつ質問を繰り返す姿がボロを纏った頃のやんちゃなピダムを彷彿させた。
女王はそれを懐かしみつつも…
直ぐ目の前にあるピダムの形の良い唇が自棄に目について赤面してしまった。


「ん、ピダム…そんなに近くに寄ったら話がしにくかろう」


そう言われたピダムであったがお構いなしに女王の背中や尻を手で撫で回しながら額や鼻に口付けを繰り返している。


「私は全く気になりませんし…だから早く柊の秘密をお教え下さいませんか、陛下…」


ピダムの柔らかな唇が素肌に触れ…
温かな掌に身を包まれる度に…
ピダムのもたらす快楽に溺れそうになりながらも女王は気丈にも意識を保って。
遥かな昔のことを思い出そうと己の記憶の中に身を置き始めた。




***

花郎たちが陛下を父君をお救いした、そう書かれた紙がまるで花吹雪のように舞い落ちてくる。

ひらひらひらと…
ぱらぱらぱらと…

私は男の格好をしてミシルと対峙している。
公開尋問をする為の場で。

これまでと覚悟を決めたミシルが弓に矢をつがえて引いた。
その矢の先にいる私は立ち上がり、その矢を…いいやミシルの想いの全てを受け止めようと両手を大きく広げた。


「射なさい、貴女の敗けだ!ミシル」


「そうだ!トンマン、お前の勝ちだ…」


例えこの命が奪われようと…
チュンチュさえ生き延びさえすれば勝利を手にするのは『私たち』だと『死』を覚悟したあの時…
演舞場でミシルが放った矢は私の胸に尽き刺さり私の命を奪う筈だった。
だが…王家に代々伝わる守護刀ソヨプ刀に寄って奇跡的にもその矢は止められ私は無事だった。

その後、ミシルの兵士たちに寄って殺されそうになった私たちを助けに来たのはピダム…お前だった。


「公主さま…」


そう言って私を心配そうな眸で見詰めるお前。


「ピダム…ありがとう」


お前はほんの少し不貞腐れながら


「今度こんな風にお一人で無茶な真似をされたら本当に助けになど来ませんからね!」


とそう言ったな。
きっとお前のことだから『心』が張り裂けてしまうくらいに心配してくれたのだろう。

ピダム…すまない。
お前は私にとっての生ける『刀』だ!
私を護り、私の命令通りに邪魔者を切り払う『刀』
王家を護るこのソヨプ刀のように私にとって絶対に無くてはならないもの。
ピダム…この気持ちはお前に伝わっているのだろうか?
言葉に出さずとも『お前』にならば『伝わる』筈だ…と思うことはいけないことなのだろうか?




**

四十数年もの長い間、ミシル璽主によって掌握されて来た神国の全てを取り戻す為に私は母さんが残してくれた最後の贈り物。
チヌン大帝がミシルを刺殺せよと命を下した『勅書』を使おうと決心した。
ピダム…直ぐにお前にそれを取りに行かせた。
お前にならどんな秘密も打ち明けられるし…お前ならばどんな秘密も守れるとそう信じていたから。

なのに…なのにお前がそのミシルの息子であったとは…

お前は私に勅書は無かったと嘘の報告をし、それを返してはくれなかった。
そればかりか勅書の持ち主であった実母ミシルをそれで脅した。
息子であるお前が母を脅したのだ。

ミシルの乱はお前が終結させたようなものだった。


大耶城でミシル璽主が自決し、その側に立ち尽くして涙を流していたお前。
馬を駆って私の前から消え去ろうとしたお前。
当然のことだった。
私はお前の心をズタズタに切り裂き、その魂を奈落の底に落とすことばかりをさせていたのだから。


実母の命を奪う『命令』が書かれた勅書。
お前のことだから掘り起こして直ぐにそれを見たのだろう。
それを開き見た瞬間のお前の衝撃がどれ程のものだったのか…
即ちそれはお前がこの世に生まれ出でたことを否定する…お前の存在そのものを否定するもの。
私はまだあの時それを知らずにいたとは言え…
無邪気に微笑んで「公主さまのお役に立ちたい」
そう言ったお前に私は何と残酷なことをしてしまったのだろうか…

王位に就いてからもずっと…
お前の心を『闇』の中に閉じ込めるような仕事ばかりをさせている。


ピダム…
苦しくはないか?辛くはないのか?
そしてピダム…お前は王位を夢見ることはないのか?
奪おうと思えばそうすることが出来る場所にお前はいるのだから。




**

はっと我に返った女王をピダムはずっと見ていたようで…


「陛下?…何をそんなにも思い詰めていらしたのですか?」


そう言って記憶の中のピダムと全く同じように美しい顔で屈託なく微笑んだ。


「うん、そんな風に見えたのか?ピダム」


「はい、難しいお顔をされておりました」


女王はピダムの広い胸に顔を埋めるように寄り添うと


「ピダム…お前はいつも変わらずに私の側にいてくれる。だから私は安心して危険に身を投じられる…これからも側にいてくれるな?」


そう言って顔を上げてピダムの眸をじっと見詰めながら


「そうだ、柊の秘密を知りたいのだったな?ピダム…ならば『秋』まで待て…秋になったら教えてやる」


「えっ、陛下…そんなに経たないと教えて頂けないことなのですか?」


ピダムがあまりに落胆したので


「ふふふふふっ、良いではないか!夫婦と言えども互いに『秘密』はあると申すではないか?ピダム、お前にとって『柊の秘密』くらい何ともないだろう、違うか?」


「はい、陛下…確かにそうですが…」


『秘密』と言う言葉を聞いたピダムの眸に影が出来たことに気付きながらも女王は知らぬふりを決め込んだ。
心の中に閉じ込めていた『秘密』
己がトンマンについて来た『嘘』を返り見るピダム。


陛下…いや、トンマン…
俺はお前に嘘を幾つもついて来た。
『勅書』のこと。
『師匠』のこと。
そして『我が子』のこと。

それでもトンマンは俺を詰らずに俺を信じ愛してくれている。
『王』と言う孤高の高みにその身を置き…
最も『疑い』『監視』することが必要な秘密部門を統括する首長としてのこの俺を…
況してや俺はあのミシルの息子なのに…
一点の曇りもなく俺を信頼してくれている。
俺の毛羽立つ心を包み込んで…胸の奥に巣食う闇をその慈愛の光で焼き払う。
トンマン、お前は俺の光!俺の希望!


ピダムの意識が己の元に再び戻って来たことを確信した女王はピダムに向かってこう言った。


「ピダム…秋になったら満開の『柊の花』を皇龍寺まで見に行こう…お前と二人で…必ず」


「はい、陛下。お約束お忘れなきように…」


ピダムはそう言うと女王の左手を口元まで運び、その手の甲に口付けを落とした。
それから女王の夜着の帯をゆっくりと紐解くと熱い心と体で女王を喘がせ始めるのだった。




その夜…
女王はピダムの腕に掻き抱かれて幸せな夢を見ていた。
満開に咲き誇る柊の老木。
ひらひらひらと舞い落ちる白い花弁と青々と茂る厚みのある葉。
その香りは他のどの花よりも芳しくて…
甘く漂い肢体に絡みつく。

ああ、ピダム…
まるでお前に抱かれているようだ。

女王は己の身体をその香り諸共愛おしそうに両腕で抱き締めるとそっと目を瞑った。
ピダムの美しい姿を…
その耳に心地よく響く声を…
その存在全てを想い描きながら…


ひらひらひらと…
ぱらぱらぱらと…

白い花弁が舞い落ちる。




後編に続く。





☆最後までお読み下さり、ありがとーございましたm(__)m
エロではない…ラブを書きたかったテヤンです(^-^ゞ

ピダム&皆さん、続くでミアネヨ~(^-^ゞ


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