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バレンタインデー企画 SS私のピダム 柊の花の如く 後編
皆さん、こんばんは~(^o^)/

お待たせしました!

今宵はバレンタイン企画『SS私のピダム 柊の花の如く』の後編をUPしま~す

テヤンさん、柊の花を実際見たことは無いのですが…今回SSを書く為に色々調べていたら柊がとっても好きになってしまいました(*^^*)

ピダムにぴったりの『木』であり『花』だから…(これからどんどんそう言うのが増えるのかなぁ~)

今年は晩秋になって柊が咲く季節になったら咲いてる処を探して、柊の花弁が散り行く瞬間に立てる『音』を聴いて見たいなぁ~って思っています


ではでは、宜しかったら続きをぽちっとしてお読みになって下さいね~(^з^)-☆



西の空に女人の眉のような美しい弧を描いた上弦の月が見える。
宮殿の西門近くで月を眺めながら女王はピダムがやってくるのをアルチョンと共に待ち続けている。
そこへ…足音もなく暗がりからフラりと現れ出でた人影が一つ。
いつもの司量部令の黒衣ではなく襟だけが黒く丈の長い鈍色掛かった上衣を羽織り、普段はピタリと結い上げている髪を今宵は緩やかに結んで前髪まで垂らしていた為に一瞬別人かと思える程に…変装としては完璧な姿のピダム。
女王の前まで進み出ると一礼してから約束の時間に幾分遅れたことを謝罪した。


「陛下…お待たせして申し訳ありません」


「いや、多忙なお前に無理を申したのだから謝る必要はない」


隣で女王を守護する侍衛部令アルチョンが


「ピダム公、陛下をよろしくお願い致します」


「ああ、アルチョン公。お任せ下さい」


そんな二人をじっと見詰める女王。




「では、ピダム…参ろうか」


そう言うと女王は桃色の薄衣の付いた笠を深く被りピダム一人を共に皇龍寺へと急いだ。





皇龍寺の住職の元には女王からの手紙が届いていた為に裏門の木戸には鍵が掛かっては居らず、そこから二人は密かに境内に入ろうとしていた。
キーっと音を立てて小さな木戸は開いた。
人よりもかなり背の高いピダムは座り込むように屈んでその小さな木戸をくぐり抜けるしかなく…
後ろに続く女王はピダムの幼子のような可愛らしい仕草にクスリと笑いを漏らした。


「陛下…今、私を笑われましたね?」


地獄耳のピダムが女王を幾分睨むように後ろを振り返る。
女王は再びクスクスと笑いながら


「ピダム…司量部令の礼服を脱いだ途端にお前は子どものようになるのだな?」


ピダムは一瞬伐の悪そうな顔をしたが次の瞬間けろっとした顔で


「いけませんか?陛下…時には身分も地位も持たぬ一人の男として陛下のお側にいたいと…そう思う時もあるのです」


女王はうんうんと頷きながら


「そうだな、そう思う時も確かにある。では、ピダム…今からこの寺を出るまでは昔のように私を『トンマン』とそう呼ぶのはどうだ?」


「えっ?」


ピダムの思考がそこで一瞬止まったように見えた。
女王はそんなピダムの背中を押すように


「ほら、昔のように呼んでみろ!ピダム」


「しかし、恐れ多くて…」


「さっき私を睨んだように…ほらピダム!トンマン…と…さあ…」


女王はそう言ってにっこりと笑いピダムを見詰めた。
ピダムは唾をごくりと飲み込むと目を瞑りながら女王の名をそっと囁くように口にした。


「トン、マン…」


「うん、ピダム…もう一度言って見てくれ」


「トン、マン…」


「ピダム…」


女王が嬉しそうに笑っているのが薄衣を被っていても解る程に…
今、この時の二人の間には身分も地位も…偽りも悲しみも…二人を隔てるものは何も存在していない。

女王は自らピダムの手を握ると


「私たちは只の夫婦者…この寺を出るまでだ。ピダム」


ピダムは握られた手をそっと握り返しながら頷いた。
そして…鼻をくんくんさせながらピダムが…


「トンマン、さっきから凄い良い香りが彼方の方から漂って来るのは…もしかして柊の香りなのか?」


「相変わらず察しが良いな。そうだ、この香りと…真っ白な花と刺々しくない葉と…そして…」


ピダムは一瞬聞き間違いをしたのかと思って


「刺々しくない葉…と今、言ったのか?」


「ああ、そうだ、ピダム…」


益々首を傾げるピダムの腕をぐいっと引っ張ると女王は


「見れば解る。だから、早く見に行こう、ピダム!」






境内のほぼ中央に鎮座する満開の柊の老木。
無数の真っ白な花をその腕に抱えるように咲き誇り…
青々とした葉はその生きてきた年月を現すかのように丸く削られ…刺々しさは何処にも見られない。

老木を囲むように置かれた篝火によって鮮やかに浮かび上がる。

女王とピダムは手を繋ぎながらゆっくりとそれに近付いた。


「トン、マン…柊の秘密ってこれのことだったのか?」


女王はにっこりと笑いながら


「ピダム。美しいだろう」


「ああ、美しい。それに良い香りが…」


ピダムは更に柊に近付いて思い切りその香りを吸い込んだ。
そして目の良いピダムは直ぐ様それに気付いた。


「ああ、本当に葉が丸い!柊なのに葉が丸いなんて!」


驚くピダムに女王は笠を外しながら


「博識のお前が知らなかったのか?柊は太陽の光を燦々と浴びて育ち…歳を重ねるとこうなるようだ。私も寺の住職に聞いて知ったことなのだが…」


「トンマン…つまりはその…俺が柊に似ているというのは…」


「ああ、そうだ。お前の思っている通りだ。若い頃は触れると切れそうだったお前が今は宮廷の女官たちに『凍れる美貌の司量部令』と呼ばれる程に『心を押さえる』ようになった。年月は人を変える。ピダム…そしてお前は今も美しく…私に優しい…私の生ける…ぁっ…」


そう言って自分を見詰めながら言葉を続けていた女王の体をぐいっと引き寄せるとピダムはその腕の中に愛しそうに女王を閉じ込めるのだった。
暫し互いの眸の中に互いを写し抱き合う二人。


夜風がさらりと頬を撫でたのと同時に…
咲き誇る柊の白い花弁がサーっと音を立てて舞い落ちる。


ひらひらひらと…
ぱらぱらぱらと…


唇を重ね愛を奏でる二人の上にも小さな花弁が降り注ぐ。




***

「もし、どなたかご在宅でいらっしゃいますか?」


裏の木戸の方から若い女の声が聞こえた。
トンマンは縁側で日向ぼっこをしながら、そちらに顔を向けるとそこには法隆寺の参道に店を構える大店の末娘遡夜(さくや)が立っていた。
年の頃はウム(霪)と同じほど。
キリリとした目元が印象的な美しい娘。
トンマンの前まで来るとゆっくりと頭を下げて挨拶をする。


「これは母君さま、こんにちは。今日は節分ですのでこれをお持ちしました!」


そう言うと手に持っていた籠の中から藁で頭を括られた鰯を取り出した。


「ああ、そうであった。それが必要だったのだな…」


神国の儺では『鰯』の頭は必要でなかった為にトンマンは倭に渡ってからも節分の日に『鰯』を用意するのをつい忘れてしまう。
それを見るに見かねた遡夜が一昨年から節分の日の昼過ぎになると『鰯』を届けに来るようになった。
最もそれだけが理由ではなかったのだが…

遡夜は鰯を籠に戻すとトンマンに向かってこう質問をした。


「あの…母君さま、ウムさまは薬房の方にお出でなのですか?」


「ああ、そうに違いない。ウムに用があるのか?それなら行って見れば良い」


「はい、ありがとうございます。ですがお仕事の邪魔になっては大変でしょうからこちらで待たせて頂いても宜しいでしょうか?」


「勿論、そうすると良い。では、茶の用意をされよう。サンタク…サンタクはいますか?」


サンタクが用意してくれた茶を啜りながらトンマンと遡夜が楽しそうに女同士の話に花を咲かせているところに…
ウムがやって来た。
母の隣に遡夜の姿を見付けるとウムは嬉しそうに微笑んで


「遡夜殿、お出ででしたか?」


遡夜も縁側からぱっと立ち上がると


「ウムさま、こんにちは…」


とこちらも頬を紅色に染めて恥ずかしそうに挨拶をする。
そんな二人の微笑ましい様子に目を細めながら皇龍寺でのピダムの言葉を思い出すトンマン。


「トンマン…もし、もしも二人で野に下り一緒に暮らすことが叶うのならば家の鬼門に柊を植えよう!」


「ピダム…」


「そうすれば数年の後には家に居ながら『花見』も出来…万が一にも俺が側に居ずとも…」


「ピダム…そんな不吉なことを口にするな!」


ピダムはしまった!と言う思いを誤魔化すように高らかに笑った。


「はははははっ、冗談だよ!トンマン…ははっ…」


「ピダム…」


心配そうな顔をしてピダムの上衣をぎゅと握り締めている女王。
そんな女王の不安を掻き消すようにピダムが大きな声を立てて笑っている。

遥かな昔の懐かしい思い出…




「ピダム…」


小さな小さな声で愛しい夫の名前を呟いたトンマン。
再び若い二人の初々しい姿に目を移して微笑むと庭の隅に植えられた柊を見やった。


ピダムの指示で植えられたのか…
この家の鬼門の方角に青々とした葉を繁らせる二本の柊がある。
日に日に大きくなって行く若木。
葉はまだまだ刺々しい。
まるで若い頃のピダムのように…


ピダム…お前に会いたい。
会いたくて会いたくて…
会いたいと言う想いが時々心から零れそうになって困るほどだ。
ピダム…


そんな母の哀しい想いも若い二人の恋心をも全て受け止めるかように柊は真っ直ぐに空に向かって伸びていく。
まさにその日は節分。
冬至で死した太陽が再生すると信じられた日の前日。
破邪と永遠の若さの象徴、人の心の痛みを知り、闇を照らす力で人々を守ると言う『柊』
その柊の枝に鰯の頭を刺して鬼を払う儺。


いつも間にかトンマンは柊の白い思い出に抱かれてうとうとと船を漕いでいた。


ピダム…
いつかここでお前と…
ウムとそして…
あの白い花を見られる日は来るのだろうか?


ひらひらひらと…
ぱらばらぱらと…


白い花弁が幻の如くに舞う向こうでピダムが手招きをしているのが見える。
手を伸ばしてそれに触れようとしたがピダムの姿はどんどんと遠ざかり…やがて消えた。
目をそっと開けた瞬間…
鬼門の方から自分の名を呼ぶ懐かしい声が聴こえたような気がした。


ピダム…ひょっとして近くにいるのか?


はっとして言葉を飲み込んだ母をウムが心配そうに見守っている。
そのウムをキラキラした眸で見詰める遡夜がいる。

青春を謳歌するウムの元へも…
そして愛しいピダムを追い求める母の元にも…
春はひっそりと足音も立てずに近付いている。
もうすぐそこまで…


日が傾き始めた斑鳩の街には鰯を焼く煙と匂いが漂い始めた。
柊に鰯の頭を刺して魔を遠ざけよう。
鬼は外 福は内…
今年も無事に過ごせるようにと…
切なる願いを籠めて豆を撒く人々の想いは処を変えても変わることはない。








☆最後までお読み下さり、ありがとーございましたm(__)m
七緒さんからのリクエストは『ウムの初恋♪』でした!
具体的な恋模様は書けませんでしたが…
想い人がいると言うことはちらりと書いちゃいました(^-^ゞ
そしてこの大店(おおだな)は実は新羅との交易をしている貿易商にするのはどうかなぁ~とか思ったりもしています。

遡夜(さくや)…此花咲夜姫(このはなさくやひめ)からお名前をお借りしました♪
もしかしたら『咲夜』に変更するかもしれません。
悪しからず(^-^ゞ


☆追記
『儺』の儀式(豆まき)が日本や韓国で行われたのは恐らくもっと後世になってからだと思います。
しかも『鰯』を内陸の斑鳩に運ぶとなると塩漬けにしなくてはいけないし(^-^ゞ
その辺は申し訳ありませんがお見逃し下さいね~
よろしくお願いしまーす(^з^)-☆





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Comment - 2

亜細亜

No title

テヤン様、こんばんはー! またまたやられてしまいました!柊の謎もわかったし、あとはLOVEで終わりだろう…という予想を覆しての倭国編、ああ、テヤン様に連敗!という嬉しい悲鳴です。まさかまさか、ここでウム君がくるとは……。早く親子三人で幸せになれるといいのに。柊が老木になって葉が丸くなるまでに……なんて待てない、早く早くピダム……。
それにいつのまにかガールフレンドがっ!いやいや、亜細亜は若い二人をあたたかく見守る…という気持ちになれません。なんかもやもやする……この気持ちはもしや……そう、大事な息子を嫁に取られたシュウトメの気持ち!! そうか、亜細亜はウム君に恋心ではなく母親的な愛情を抱いていたのか……まあ、年齢的にそうなんですけどね。トンマンはどうなんですかね。嫁に嫉妬しないんですかね(^_^;)。
話は変わるんですけど、刀雨についてのコメントに補足です。テヤン様が「ピダムのテーマソングもあったらいいのに」と書かれていたので、ピダムのテーマソングは無理でも、刀雨をそう思えばどうだろう、じゃあテヤン様のSSだったらどれが合う?…とそういう思いつきで書いたんです。唐突な内容だったようですみません。訳していただいたあの歌詞、まさにピダムそのものって思って、鳥肌がたちました!

2013/02/19(Tue) 20:20

Edit | Reply | 

テヤン

春近し…なんですよ♪実は…


亜細亜さんへ


>テヤン様、こんばんはー! 

こんばんは~(^-^)/
返信遅れてすみませ~んm(__)m


>またまたやられてしまいました!
柊の謎もわかったし、あとはLOVEで終わりだろう…という予想を覆しての倭国編、ああ、テヤン様に連敗!という嬉しい悲鳴です。
まさかまさか、ここでウム君がくるとは……。
早く親子三人で幸せになれるといいのに。
柊が老木になって葉が丸くなるまでに……なんて待てない、早く早くピダム……。

あ~(+_+)
予想に反する結末…申し訳ありませぬm(__)m
リクエストが『ウム君の初恋♪』でしたので…
お話がウム君へと飛んだのです。
柊…ウム君の家に植えてあるのが老木になるのはまだまだ先…
確かにそれじゃあ可哀想ですよね(ToT)


>それにいつのまにかガールフレンドがっ!
いやいや、亜細亜は若い二人をあたたかく見守る…という気持ちになれません。
なんかもやもやする……この気持ちはもしや……そう、大事な息子を嫁に取られたシュウトメの気持ち!! 
そうか、亜細亜はウム君に恋心ではなく母親的な愛情を抱いていたのか……まあ、年齢的にそうなんですけどね。
トンマンはどうなんですかね。
嫁に嫉妬しないんですかね(^_^;)。

うーん(((^_^;)
息子の恋人に嫉妬ですかぁ~
これは人によるかもしれませんね。
トンマンの場合は最愛の人ピダムがいますしe-266
温かく見守るタイプなのでは。
管理人にも年頃の息子がおりますが…彼女が出来ない方が逆に心配な母だったりして(^^ゞ
いるかいないか、全く存じませんが(笑)
頑張れ、息子…頑張れ、ウム君♪


> 話は変わるんですけど、刀雨についてのコメントに補足です。
テヤン様が「ピダムのテーマソングもあったらいいのに」と書かれていたので、ピダムのテーマソングは無理でも、刀雨をそう思えばどうだろう、じゃあテヤン様のSSだったらどれが合う?…とそういう思いつきで書いたんです。
唐突な内容だったようですみません。
訳していただいたあの歌詞、まさにピダムそのものって思って、鳥肌がたちました!

『刀雨』韓国語で『インウ』
とても良い曲ですよねぇ~
爽やかで…熱い…抑えた心をいつか解き放つ為に痛みに耐える人生。
『武神』の主人公キム・ジュンの人生も過酷で…
愛する女人をある事件で亡くしてしまうのです。
それも結婚する3日ほど前に…
その女人の心を抱いてキム・ジュンは世間の荒波に立ち向かって行くのです。
『武人』が世を支配した時代。高麗末期。日本の武士とも共通するところがあって。
潔く熱いその武人たちの心意気に毎週のように涙しているテヤンです(T_T)

確かにピダムにも当てはまる歌詞。
そう思いたいんですが…
命掛けで戦っているキム・ジュンを見てしまったので無理かもしれません(^^ゞ
ごめんなさいね~m(__)m
もしも泥臭くてオジサンばかりの大河ドラマでも大丈夫よ!と思われたら、是非『武神』ご覧になって下さ~い。

格好いいピダムのテーマがないのは少し寂しいですが…
『愛』のテーマ『サランハミョンアンデニ』があるので…
ピダム(ナムギル君)のあの甘美な声音に今夜も酔いしれたいと思っています♪

コメントありがとーございましたm(__)m
亜細亜さんの発想力はホントに素晴らしいですね♪
また、楽しいコメントお待ちしていま~す(^з^)-☆



2013/02/21(Thu) 22:08

Edit | Reply | 

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