風の歌声

ピダム&男前を愛する管理人の萌えブログです♪

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SSS私のピダム 春の宵


昼間は春らしい陽気でしたのに、お天気崩れてしまいましたね。

でも雨は雨で風情があるのでそんな晩もお酒を少し飲んでほろ酔いになるとそれはそれで又楽し♪

週末はついつい夜更かししてしまいます。

昨日一昨日とパスワード限定SSでしたので、今晩はパスワード無しにしたいと思って…

こんなお話になりました。少し短いです。










「ピダム…」


「はい、陛下」

内苑を司量部令ピダムを伴ってそぞろ歩いていた女王が少し後ろを歩くピダムに声を掛けた。


「美しいなぁ…」


桜の花弁が風に乗って舞散る姿に女王は痛く感動して足を止めた。

風に舞う花弁を手で掴むような仕草を時折しながら、微笑んでいる。

ピダムも共に足を止め、桜吹雪の中で女王の姿だけを追っている。

(美しいのは陛下、貴女です)


そんなピダムの様子に気が付いた女王は


「お前がそんなに熱心に桜を愛でるなんて…知らなかったぞ!」

ピダムも優しい笑顔で答える。


「はい、陛下」

(いえ、陛下。そうではありません。私が見ているのは桜ではなく、貴女唯お一人!)


そんな二人のちぐはぐな想いを他所に桜は風に舞い、将に春爛漫。

内苑には様々な種類の花が植えられている。

桜も垂れ桜はまだ8分咲きで桃色がかったその風情は薄紅色の物とは違い、可憐で美しかった。

連翹や雪柳、水仙も色とりどりに咲き誇り、女王の目を楽しませている。


「ピダム、覚えているか?昔まだ公主だった頃にお前が良く連れて行ってくれたあの菜の花畑を…」


「はい、陛下。覚えております」


「あの菜の花は今年も咲いているだろうか?」


「はい、恐らくは…」

そう答えるしかなかったピダムを見て女王は


「ああ、お前も宮中から滅多に出ることなどないのに、解る筈はないな…」

そう、淋しそうに笑った女王の顔がピダムの心に棘のように刺さった。





***

その夜、女王の執務室を訪れたピダムは部屋に入るなり息を飲んだ。

何処から切り出して来たのか解らなかったが見事な桜の一枝と幾つもの大きな花器に沢山の菜の花が活けてあり、卓の上には彩り鮮やかな料理と酒が用意されていた。

政務報告の為にやって来たピダムはいつも通りの黒衣に政務報告書を携え、その場に立ち尽くしている。


「どうした?ピダム。何故座らぬのだ?」


女王がそう言ったのでピダムは


「私はお伺いする時間と場所を間違ったのではないかと、そう思いまして……何方かいらっしゃるのではありませんか?」


女王は「ふふふっ」と含み笑いをしてからピダムに


「こんな夜更けに誰を此所に呼ぶと言うのだ?お前と今宵は酒を飲みながら昔語りがしたいと思ってな、用意したのだ!」


「陛下…」


「とにかく飲もうではないか」


そうして女王とピダムは二人で桜と菜の花を肴に杯と杯を酌み交わし始めた。

互いの杯に酒を注ぎ、それを重ねる度に酔いが回り、二人の気持ちはそれに釣られてどんどんと昔へと戻り、数刻後にはすっかり出来上がっていた。


「陛下、そろそろ寝ませんか?」


「いや、まだまだ大丈夫だ。ピダム…私は眠くない」


ピダムは今までも何度も女王のその言葉を信じて眠れぬ夜を過ごして来た。

今夜も悶々とした夜を送ることを考えると、そろそろこの辺りで閨に女王を連れて行きたい所だった。

仕方ないのでピダムは女王に近付くと背後から女王を抱き締めて、こう切ない声音で囁いた。


「私のトンマナ…」


酔いが回って自分は公主なのだとすっかり思い込んでいる女王はその言葉に心を持って行かれた。


「ピダ…ム…」


女王はピダムに体を預けてピダムの体温を感じ、その香りに浸った。



その夜、女王の甘い矯声とピダムの満足気な吐息が菜の花の香りと共に仁康殿から漂うように微かに聞こえた。



春の夜、朧月の甘い調べにピダムは酔いしれ…

その朧月は漆黒の闇に抱かれながらも雲の隙間から菜の花畑をこっそりと垣間見ていた。


春の中の春の宵…


恋人たちは薄紅色に肌を染める。






☆★☆★☆

管理人、雪柳よりも菜の花が好きなのではないかと思うくらいにSSに菜の花登場してます(笑)

昨日車窓から見た河岸に群生している菜の花がとても綺麗で忘れられなかったのでした。



スポンサーサイト

Comment

Post Comment

(設定しておくと後でPC版から編集できます)
非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。