SS私のピダム 司量部令の一日 その弐
皆さん、こんばんは~(^3^)/

今日はお昼頃まで暖かかったのに…
急に風が吹き始めて一気に気温が下がりましたねぇ~
将に『花冷え』
気をつけないと風邪を引いてしまいそうです(>_<)


そうそうナムギル君の歌う『君は知らない』が挿入された『野王』のostが発売されるようですね!
密林を検索すれば出て来ますので…
欲しい方は密林に飛んで下さ~い


今宵は『司量部令の一日』その弐をUPしま~~す♪
続きをポチっとしてお読みになって下さいね~(*^^*)





桜の花が満開と言えど徐羅伐の朝の気温はまだまだ低い。
ピダムは女王に暇乞いをすると机の上にあった書簡を抱えて仁康殿の建物から出た。
外に出た途端、微かにそよぐ風の冷たさに袖の中に両手をそっと仕舞い込んだ。
『やはりまだまだ冷え込むな。花冷えとは良く言ったものだ』
ほんの少しだけ身を縮込ませながらも渡り廊下を大股でさっさと歩いて司量部へと向かう、眉間に幾分皺を寄せながら今日一日の仕事の配分をその頭の中で組み立るピダム。
女王に指摘されたように今日の仕事の量は己の方が遥かに多くなるであろうことは間違いなかった。
百済に潜入させた密偵からもたらされた『内侵の可能性』の情報により司量部の仕事は増え、それを統括するピダムは休むことも許されぬほど多忙になる。
だが、女王と交わした花見の約束。
『満開の桜を見るのなら今日でなければ…』
見上げた青空に薄曇が掛かり始めていることから天気は下り坂であることは間違いなく…況してや時おり気紛れで吹く春の嵐でも訪れようものならば満開に咲き乱れる桜の花は一瞬の内に散ってしまうだろう。
思い立ったが吉日。
『やはり今日が良い、いや今日でなければならない』

司量部令になって早五年。
闇に暗躍する者たちの扱いにも慣れ、窮屈な宮廷の作法も覚え、随分と己の気持ちを律することも出来るようになったと言うのに…
今朝の陛下の、愛しいあの御方の憂い顔を見てしまった瞬間、急にぼろ服を纏っていた昔のように何事にも縛られずに只桜の花を眺めたくなった。
散り行く桜を二人で静かに見ながら…孤高の玉座に座り微かに震えているあの御方の指をそっと握り締め、この胸に全てを抱き留めて慰めたくなった。
そんな些細なことをする時間も許されぬと言うのであれば高価な絹で織られた司量部令の黒衣など今直ぐにでも脱ぎ捨てて自由気儘に生きられる身分の男になりたいとさえ思う。
だが立場上それが許されぬのも十分に理解はしている。
己が陛下の御代を影で支えているのだと…
だがそれでも愛しい女人の憂い顔を見て揺れる自分の気持ちを抑え切れぬ。
『まだまだ未熟者だと言うことか…』
ピダムは心の中でそう言うと淋しそうに微笑んだ。

もしあの御方が…
まだあの御方がトンマンと呼ばれていた頃に女王の御位に昇ることを望まず一人の女として生きる道を選んでいたら…
何処か田舎の小さな庵に居を構えて…そこでトンマンと…軈て生まれたであろうトンマンや自分に良く似た子どもたちに囲まれ、野を耕し山や川で狩りをして、毎朝日が昇る頃に起き日が沈む頃には寝て…そして春の麗らかな日に握り飯を持って家族皆で手を携えながら桜見物に行っていたかもしれない。
そうやって慎ましく穏やかで小さな幸せに満ち溢れた生活を送っていたかもしれない。
だがそうであったとしたらトンマンが唯の女人であったなら己はこれ程までにトンマンにかしずき付き従っていただろうか?
これ程までに深くトンマンを愛しただろうか?
トンマンが酷く険しい神国の女王への道を、そしてその先にある更に大きな夢、新羅と言う国が夢見る『三韓一統』を目指したからこそ己はトンマンに膝を折り己の全てを投げ出したのではないのか?
トンマンの夢見る女人が描くには壮大で痛快過ぎる夢に己の欲望と夢を重ねて…
己に足りない何かを追い求め、トンマンと一緒ならば人として正しい道を歩めると信じたからこそ、己はこうしているのだと。
ならば今回の百済との戦いにも必ず勝利し…トンマンの、いや女王陛下の『網羅四方』の夢に向かって突き進まなければならぬ。
それには先ず…
ピダムは何時にも増してその鋭利な頭脳を使って色々なことを考えながら歩を進めた。



司量部令の執務室の扉の前まで来るとそこを守る衛兵が恭しく頭を下げて扉を開けた。
中にサッと入ると既にソルォン公とヨムジョンが椅子に座ってピダムの登庁を待っていた。


「ピダム公、お早う御座います」


先ずソルォン公がピダムに向かって朝の挨拶をした。


「お二人とも今朝はお早いですね?」


「はい、ヨムジョンから百済の侵攻の書簡の件を伝え聞いて…」


するとピダムはヨムジョンをじっと見ながら


「そうか、仕事が早いな。そなたがこれを仁康殿まで持って来てくれたのか?」


「はい、一刻も早くお伝えした方が宜しいかと思いまして…ですが…」


ピダムは片方の口の端を上げてニヤリと微笑むと


「だが私が伽をしていた為に伝えることが出来なかった…と言いたいのだろう?違うか、ヨムジョン」


「いえ、はい。司量部令」


口籠るヨムジョンにピダムは


「気遣い感謝する、がヨムジョン。もしこの先万が一の情報がもたらされた場合には大殿での会議中であろうと伽の最中であろうと遠慮なく私の元に来るが良い」


「しかし、司量部令…」


ピダムは静かな闇色の眸でじっとヨムジョンを見詰めながら


「それが我らの勤め故、司量部が陛下直属の機関であると言うことはそう言うことだと私は考えている。だから良いな、ヨムジョン」


「司量部令…」


それでも眉を八の字にしているヨムジョンの肩をがっしりと掴みながら


「神国の平和は我らの手に掛かっているのだ!頼んだぞ、ヨムジョン」


そう言うとピダムはどっかりと椅子に座って兵部へ送る今回の作戦行動の草案をソルォン公らと共に練り始めた。



**

一方の女王も執務室の机の前に座ると積み上げられた書簡を一つずつ紐解き、普段のように静かに仕事をしていた。
そうして一刻が過ぎようにしている頃…
女官長に女王は声を掛けた。


「そうだ。折角だから今日は視察をする折に着用する衣に着替えて花見に行きたいのだが…どうだ、用意は出来るか?」


「はい、陛下。大丈夫で御座います」


「そうか、ではそうして来れ。なるべく色の薄いものを頼む。それと…」


女官長は首を傾げながら


「はい、陛下。他にも何か御座いますか?」


女王はにっこりと微笑んで頭を押さえながら


「このカチェを外して行くのはダメだろうか?」


「えっ、陛下…はい、それは構わないと思いますが…」


「時には身軽な格好で…その司量部令と…花見をして見たくなったのだ!」


「陛下…はい、陛下」


女官長には女王の気持ちが痛いほどに理解出来た。至高の御位にいる女王とその寵臣である司量部令。
心の底から愛し合う二人なのに毎夜閨で過ごす名目は『色供』と言う女王に種子を提供し色を供すだけの関係とされている。
日々与える仕事は熾烈極まりない闇の出来事の処理、時に命さえも狙われる危険極まりない諜報活動等々。
愛する男を公私共に暗闇の中にどっぷりと沈め、その全てを己の為に…いや国の為に奪い尽くしている女王が己の姿格好でその男の心を慰めようとしていることを長年女王に仕える女官長が解らぬ筈がなかった。
地位や富や他の女人には全く興味がなく、その男にとって唯一女王だけがこの世での『宝』であることも知っていたからだ。


「陛下…では、桜が映える空色の衣をご用意致します。それと髪飾りはどう致しましょうか?水菓子や干菓子は如何致しましょう?」


「そうだな…そなたに任せる故、適当に見繕ってくれ。司量部令の好きな温かい緑茶も頼む」


「はい、陛下。ご用意致します」


「ああっ、それと多忙な司量部令の為に昼膳の用意を…鳥料理も忘れずに頼む」


そう言って恥ずかしそうに笑っている女王に頭を下げると…
女官長は女王の執務室を出て女官の控えの間まで来るとそこに詰める女官たちに各々仕事を与え、又侍衛部令アルチョンにもその旨を伝えた。
仁康殿付きの女官一同は午後に行われる『花見』を成功させるべく腕捲りをすると嬉々として動き始めたのだった。




その参に続きます♪





☆最後までお読み下さり、ありがとーございましたm(__)m



美し~いトンピの『花見』を期待していた方、すみませ~~ん(^o^ゞ
当然その参に続きます。
花見まで一気にとも思ったのですが…
『SSS夜桜』を出したばかりなので一旦切ることにしました!
この先も三時間位の単位でお話進めて行こうと思います。
じっくりゆったりまったりと…お付き合いして頂けると嬉しいですm(__)m


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Comment 2

亜細亜

No title

テヤン様、ご無沙汰しておりましたー!ああようやくこちらに来ることができました…しみじみ…でもすっごいペースで進んでますね…どこから感想を言ってないのかわからなくなってます。なので順番が前後するかもしれませんが、まずココから。

事件が起きるエピソードもいいですが、こうやってなんてことない日常もいいですね!というか、愛情って、日々互いを思いやってはぐくむものなんですよね。女官長さま、どうぞ頑張るピダムに栄養がつきそうなごっつい美味い鶏肉料理をお願いします!

でも、普通の女人の人生を送るトンマんには、自分はどうだったろうかと思うピダムには考えさせられました。人生にIFは無いけども、それはそれで、それなりのトンマンとピダムの恋愛があったと思います。そして、二人で平凡な人生を送りながら、もしも王侯貴族としてすごしたならば……と思うんでしょう。でも、あのドラマの二人が、愛し合わないというのはあり得ない、どんな人生を歩んだとしても…と思いたい亜細亜です(^_^;)。

2013/04/04(Thu) 00:47

Edit | Reply | 

テヤン

花も嵐も共に見て…

亜細亜さんへ

おはよーございます(^3^)/

>テヤン様、ご無沙汰しておりましたー!ああようやくこちらに来ることができました…しみじみ…でもすっごいペースで進んでますね…どこから感想を言ってないのかわからなくなってます。なので順番が前後するかもしれませんが、まずココから。

お久しぶりですねぇ♪っと言いたいところですが…ご訪問して下っていたことはずっと存じ上げておりましたよ~~(*^^*)
そして『司量部令の一日』その弐をお読み下ってありがとーございますm(__)m


> 事件が起きるエピソードもいいですが、こうやってなんてことない日常もいいですね!というか、愛情って、日々互いを思いやってはぐくむものなんですよね。女官長さま、どうぞ頑張るピダムに栄養がつきそうなごっつい美味い鶏肉料理をお願いします!

そうですねぇ~
通常のドラマでも(善徳も、それ以外も)事件ばかりが起きるので…たまには何もない平穏な日々を書いて見たくなりました♪
しか~し百済が戦いを仕掛けてくるかもしれないと言う情報は掴んでいるので全くノープロブレンではないのですけどね(笑)


> でも、普通の女人の人生を送るトンマんには、自分はどうだったろうかと思うピダムには考えさせられました。人生にIFは無いけども、それはそれで、それなりのトンマンとピダムの恋愛があったと思います。そして、二人で平凡な人生を送りながら、もしも王侯貴族としてすごしたならば……と思うんでしょう。でも、あのドラマの二人が、愛し合わないというのはあり得ない、どんな人生を歩んだとしても…と思いたい亜細亜です(^_^;)。

人は自分が手に入れられないもの(人生も)に憧れるのが常だと思うので…
もしピダムに自分の人生を振り返る余裕があったら…そんなことも考えたかもしれない。
なんてちょっぴり考えたんです!
だって司量部令になるような男なんですよ~~(^o^)v
国を動かしてるのも同然な男がパッパラパー(←不適切な発言かもm(__)m)だったら神国は滅んでしまいますしねぇ~~f(^ー^;
思慮深い司量部令の長~~い一日を面白く書けると良いのですけど…
何も起きない展開って結構書くのが難しいってことを痛感しつつ、何とか花見に漕ぎ着けたいテヤンなのでした。

コメントありがとーございましたm(__)m
また、遊びにいらして下さいね~~
お待ちしていますe-53


2013/04/07(Sun) 08:41

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What's new?