風の歌声

ピダム&男前を愛する管理人の萌えブログです♪

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SSS私のピダム 黒衣

夜中にこんばんは~(^3^)/

突然、思いついて書いたお話『黒衣』

続きをぽちっとしてお読みになって下さいね~♪




橙色の夕日が西の彼方に沈むとゆっくりと辺りに闇が降りて来る。
光と闇が入れ替わる頃…
月城で最も高い場所、高楼に佇み徐羅伐の街並みを見下ろしていた女王が口を開いた。


「ピダム…近頃、徐羅伐の貴族の子弟らの間で『黒衣』を着用するのが流行っているのを知っているか?」


「はい、陛下…存じております」


女王は自分の斜め右後ろにいるピダムの方に顔を向けると微笑みながら


「そうか、そうだな、ピダム…この神国のことでお前が知らぬことはないのであろうからな…」


そう言うとピダムが


「はい、いえ、陛下。偶々知っていただけです」


と謙遜しながらそう言うと、頬を優しく撫でて行くそよ風のように爽やかな笑顔を女王に向けた。
女王は『嘘を申すな!』と訴えるようにピダムを上目遣いで見ながら


「ピダム…また、お前は嘘が上手くなったようだな…普通の女人ならば騙されてしまうところだろう、危ない危ない…くすくすくすっ…」


「お笑いになられるのですか?私は真剣にお答え申し上げましたのに…では、何とお答えすればご満足頂けるのですか?陛下?…」


ピダムはずいっと一歩前に踏み出すと鼻先が女王のそれに触れる程に女王に近付いた。
『傾国』と呼ばれた妖艶な美貌を誇った亡きミシル璽主、その母親譲りの端正で整った美しい顔と憂いを秘めた黒曜石の眸が目の前に急に現れて一瞬どきりとした女王は


「ピダム…そうするにはまだ少し明るい!それにそんなに近付いたら話がしにくかろう」


と、ぴしゃりと言ってピダムの動きを制止ようとしたが…
花郎の頃から変わらず時折二人きりになるとやんちゃな行動をとりたがるピダムはお構い無しに女王を引き寄せるとやや強引に女王の深紅の唇を奪おうとした。
女王が両の掌で己の唇を覆ってそれを阻止しようとするとピダムが眉尻を下げて不安げな表情をしたので


「ピダム…そうではないのだ。少しだけ時間をくれないか。お前に話して置きたいことがあるのだ!」


とピダムを諭すように静かに優しく言い放った。
するとピダムは透き通った闇色の眸でじっと女王を見詰め返すと


「陛下…私に…お話ですか?」


「ああ、そうだ、ピダム…お前にどうしても聞いて貰いたい。と言うより…これは私の願いでもあるのだが…」


「陛下…」


高楼をすっぽりと覆った闇が互いの顔の表情をどんどんと見えなくして行った。
女王はゆっくりと向きを変えると灯りが点りだした街並みを再び見詰め始めた。
ピダムはそんな女王を後ろからそっと抱き締めると…
女王もピダムに背を預けてピダムの腕にそっと自分の腕を重ねた。


「ピダム…先ほどの話に戻るが…何故、貴族の子弟らが『黒衣』を着るようになったか、その理由は知っておるのか?」


「はい、陛下…」


「そうか、それも知っているのか…ならばピダム、お前はそれを聞いてどう思ったのだ?」


ピダムはふっと息を吐き出すと


「正直に申し上げますと『詰まらぬこと』だと思っております」


「ふふふっ、お前は正直だな。だが、ピダム…私もお前と同じように思っている」


ピダムは女王の細腰に回した腕に力を込めて、女王をぎゅっと抱き締めると


「嬉しいです。陛下…」


女王もピダムの長い指に指を絡めて愛しそうに握ると


「当然ではないか、ピダム。お前だから、その『司量部令の黒衣』が似合うのだ!他の誰がお前と同じ『黒衣』を着たからと言って同じに見えるというのだ!」


ピダムは女王のその『愛情』と『信頼』の籠った言葉を聞いて、先刻女王に軽くいなされた落胆から光を失い欠けていた『心』の中の星々が再びきらきらと煌めき出すのを感じた。
実際、女王を後ろから抱き締めているピダムの顔が喜びのあまり、それ以上はないほどにでれでれに崩れていたのだが…
ピダムに背を向けている女王はそれを見ることが出来ずにいた。
ピダムは女王に叱られるのを覚悟で形の良い唇を女王の真っ白な首筋にそっと充てた。
だが充てたきり動こうとはしなかった。
只、女王の波打つ血潮の温かさを感じ、甘やかに香りたつ女王の匂いを胸いっぱいに吸い込みたくなった。
勿論、その先の不埒な行いもしたいと思うピダムであったが…その欲望は司量部令として培った自制心で心の奥底にぐっと沈め込んだ。
そんなピダムの気持ちに気付きながらも女王は知らぬふりを決め込み言葉を続けた。


「人は私がお前のその美しい容貌と亡きミシル璽主の息子だからと言う理由でお前を側に置いているのだとそう思う者も多い。確かにそうとも言えぬことはない。ピダム…お前は本当に美しいからな…」


「陛下…」


己の指と絡めたピダムの指の一つを口に含む女王。


「ほら、お前といると私はこうしてお前を愛しく思ってしまう。だからそれを否定したりはしない。だが、ピダム…それはお前が美しいからだけではなく、お前が私の為にその命の全てを投げ打って働いてくれている。お前が心の底から私を欲していてくれるから…それが解るから、痛い程に解るから…だからお前を…なあ、ピダム…私のこんな想いなどお見通しなのだろう?」


ピダムは答えるまでに少し時間を置いて


「はい…陛下…恐れながら存じております」


「そうであろうな、ピダム。そしてお前はそればかりでなく『無知の知』が何であるかを良く心得ていてくれている。だから私はお前を信じることが出来る」


「陛下…」


「権力を握ると人間はどんどんと欲深くなり、己を省みなくなる者も多いと言うのに…お前には私利私欲というものがない。そんなお前を私は誇らしくも思う。そしてピダム…(そんなお前を私は恐ろしいとさえ思うのだ。お前が『王』の座を望んだらと…)」


最後の言葉を呑み込んだ女王にピダムは良く響く低い声音で女王にこう答えた。


「陛下…ご心配いたしますな。私は陛下から拝領したこの『司量部令の黒衣』に恥じぬ生き方をしたいとそう思っております。私の力が尽きるまで…陛下の御為に…それが私の生きる望みなのですから」


「ピダム…それも良く解っている。しかしもう充分過ぎるほどお前は私に尽くしていると言うのに、これ以上何をしようと言うのだ?ん、ピダム…」


そう言うと女王は体をピダムの方にくるりと向けて花のように微笑むと


「お前はお前のままに…お前を真似て『黒衣』を着る者が幾人現れて私のお伽をしたいと願い出ようと私はそんな者を受け入れることはしない。私は『黒衣』を着ているお前が好きなのではないからな。お前の存在そのものを愛しく思っているのだ。だからいつまでも変わらずにいてくれ。そして体をいとえ、ピダム。お前も私ももう若くはないのだからな」


「はい、陛下…」


ピダムはそう言って艶やかに笑うと女王の顔をじっと見詰めて


「そう言えば陛下…」


「何だ?ピダム…」


「お目元に小さな皺が…ほらっここです!」


そう言って人差し指を充てると女王は怒ったように


「ピダム…嘘を申すな!こんなに暗いのに見える訳がない。それに無礼ではないか!」


と大きな声をあげたので…ピダムはそんな女王が一層可愛く思えて


「陛下…そんなにお怒りになるとほらっここにも…」


と言って眉間を指で押さえるとひょいっと女王の顔に己の顔を近付けて


「私が治して差し上げます」


「あっ…」


女王が驚いて小さな声をあげるよりも早くにピダムは女王の額近くに唇を落とすと…
あっという間に女王の唇をも奪い取るのだった。


『黒衣』を纏った司量部令、ここにありき。
誰もが羨む女王の美しき情人は時々子どものように無邪気な表情になる。
だがそれを知るのはこの世で只一人。
闇夜に黒衣を纏った男を侍らすその至高の女人のみ。
二人の重なり合う影が闇夜に微かに蠢く。
密やかな吐息と衣擦れの音が辺りに響く、春の宵。
女人の花芯から香りたつ春の香りに包まれて『黒衣』の美丈夫は夢を見る。
変わらぬ愛を誓い合い…
死しても共にあらんことを願いながら…





☆最後までお読み下り、ありがとーございましたm(__)m
『黒衣』の司量部令ピダムはこの世に只一人。
他の誰にも成り変わることは出来ない、と言うお話でした。



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