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風の歌声

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SS私のピダム 司量部令の一日 その四

皆さん、こんにちは~(^3^)/
今日は思っていたよりも暖かな一日になりそうですねぇ♪
管理人は早々と試合に負け…その後友人のやっているcoffee屋さんでランチしてました!
試合は1-3から追い付いて5-4までリードしたのに最後に振り切られてしまいました(((^_^;)
まだまだ修行が足りません。
勝負は水物。
反省はしつつも頭切り替えて…午後は友人のベリーダンスの発表会を見に行く予定です。

と、その前に…
何とかSSの続きが書けたのでアップしますね♪
続きをぽちっとしたお読み下さい。


目の前に広がる真っ青な空と薄紅色の海。
暖かな風がさぁっと吹き抜けて行く度に小さな可憐な花弁を梢から奪っては舞い上がらせる。
はらはらと春風に弄ばれて辺り一面に漂う花弁を女王は愛しげにその円らな茶水晶の眸で追いかけてはそれが地上に降り立つのを見届け…
再び視線を桜の木々に移しては梢がさわさわと揺れるのを眺め…
そんな他愛もないことを繰り返している内にピダムとの待ち合わせの場所へと到着していた。

満開の桜、その美しさは人の存在など圧倒するほどに凄まじく短い命を精一杯に輝かせて咲き誇る。
そんな儚げな桜をまるで愛でるように数匹の雀たちが鳴き声を上げては羽音をバタバタと立てながら枝から枝へと飛び移って行くのが見える。

ここは変わらずに美しい。
そして何と穏やかなのだろう。

女王は暫しその桜の海に抱かれて風の音に耳を傾けた。
今朝ピダムから聞かされた百済に放った密偵がもたらした情報が嘘ではないかと思える程に『桜波苑』はのんびりとした平和な時が流れていた。
女王は両腕をほんの少しだけ拡げて大きく息を吸い込むとそっと目を閉じた。

ああっ、何と気持ちが良いのだろう。
後はピダムがここにいてくれたら…

女王の脳裏にはピダムが時々自分だけに見せるはにかむような笑顔がくっきりと浮かんでいた。

ピダム…お前に会いたい。
お前の屈託ない笑顔が見たい。
今朝別れたばかりなのにな…
ピダム…



**

ソルォン公と共に兵部を後にしたピダムは暫く歩いて兵部の建物が見えなくなった所で足を止めソルォンの方を振り替った。

「ソルォン公」

「はい、ピダム公。何か?」

「私を助ける為にわざわざ来て下さったのですね!」

軽く頭を下げるピダムに

「いえいえ、司量部令。私は何もしておりません」

そう言って目を細めて優しく微笑んだソルォンをピダムはその深い闇色の眸でじっと見詰めながら

「また、そのようにしらを切るおつもりですか?ソルォン公…」

「まさか…そんなつもりは御座いません。本心を言ったまでです」

「本当ですか?ソルォン公。貴方ほど腹芸の達者な方は居られませんから」

「何を仰いますか、それはそっくりそのまま貴方様にお返し致します」

「相変らずですね。ソルォン公」

ピダムがソルォンの顔を見ながら片方の口の端を上げてニヤリと笑うと二人は互いの顔を見合せてクスクスと笑い始めた。
まるで互いの心の内を全て知っているかのように…
そんな親子のように仲睦まじい二人の様子を渡り廊下の反対側で羨ましげに見ていたミセンが二人の間に割り込もうと急ぎ足でこちらに近付いて来た。

「おおっ、これはこれは…ピダム公にソルォン公、お二人お揃いで楽し気なご様子ですねぇ?何か良いことでも御座いましたか?私もその輪に入れて頂けませんか?」

ミセンのその呑気な問い掛けに吹き出しそうになりながらもピダムはこの豪放磊落な叔父が側にいてくれることを嬉しく思うのだった。
どんな火急の用件が出来ようとも出仕前の身支度には決して手を抜かず、多忙な身でありながら数多の(あまたの)女性たちと浮き名を流し、両手の指の数よりも多い妻たちの元に足繁く通うこの男の一見自由気ままでありながらも時にまめまめしい生き様を時々羨ましくも思うのだった。

「叔父上ほど人生を謳歌し、日々至福の時を送られている方がこの大神国の何処に居りますでしょうか?」

と言ってその切れ長の目で艶やかに流し目を送るピダムにミセンも負けじと目を細めて

「ははははっ、これは参りましたな。ピダム公」

「またまた叔父上こそ、ご謙遜を…」

「謙遜ではありませんよ。ピダム公、貴方ほどの美丈夫にそう仰られたら誰でも自分は凄い人間なのだとそのように錯覚してしまいますぞ。ソルォン公、貴方もそう思われませんか?」

側でじっと話を聞いていたソルォンに話を振るミセン。
静かに頷きながら、それに答えるソルォン。

「誠に仰る通りです、ミセン公」

「やはりそう思われますか?ソルォン公」

ミセンの話が長くなるであろうことを予測したソルォンがピダムの目をじっと見詰めながら再び助け船を出した。

「ピダム公…さあ、どうか私たちに構わずに…」

「ソルォン公…では私は参りますが…お二人ともどうぞごゆっくりなさって下さい」

そう言って会釈をして、その場を辞そうとしたピダムを引き留めようとしたミセンの袖をソルォンがぎゅっと掴んで

「ミセン公、行かせて差し上げましょう!」

ミセンは何が何やら解らずに苦虫を潰したような顔で

「えっ、ソルォン公。何故です。私だけ除け者ですか?」

と益々酷い表情になったので

「いいえ、そんなことはありません。公を、ピダム公を行かせて差し上げたのはミセン公、貴方がいつも口を酸っぱくして仰っている理由からですよ。『人の恋路を邪魔するものではない。そんな輩は馬に蹴られて死んでしまえ!』ピダム公は陛下の元に行かれたのですよ」

「あ~あ、そうですかぁ。ああっ、何だそうでしたかぁ。いやはや…そうでしたか…それならそうと早く仰って頂けたら宜しかったのに…ふぅ…」

頭をぽりぽりと掻きながらいつもの暢気な表情に戻ったミセンを見てソルォンは顔を綻ばせた。

「それでピダム公は陛下に会いにどちらまでいらしたのでしょうねぇ?」

「お知りになりたいのですか?」

「はい、出来ることでしたら」

ミセンの大きな眸を覗き込みながら

「それでそれをお知りになったらお二人のご様子を覗きに行かれるのですか?ミセン公」

「あ、はっ、いえ…その…」

ソルォンはいつもの思慮深い顔で

「ミセン公、残念ですがお教え出来ませぬ」

そう静かに言い切るとミセンに背を向けて司量部へと戻って行くのだった。
ソルォンの背中を見送りながらミセンは一人ぶつぶつと一人言を言って見せた。

「姉上が生きて居られた頃から喰えないお方でしたが…ああ、嫌だ嫌だ!年を重ねる程に益々喰えなくなったような…ピダムもピダムですよ。何故、叔父の私よりもソルォン公にばかり…おお、嫌だ嫌だ!あはっ、あははっ…」



**

全ての足枷から解放されたピダムは逸る気持ちを抑えて女王の待つ『桜波苑』へと歩を進めていた。
司量部令と言う肩書きさえなければ花郎だった頃のように全速力で駆け出しているだろうに流石にそれは出来ずにいた。
女王と共に神国の政治の中心に身を置くようになったその時から学び始め身に付けてきた宮中での礼儀作法はピダムの身体に深く染み込んでいたのだった。
だがしかし悦びを隠しきれない証拠に自然と歩く速度は上がり、道々出会した(でくわした)女官や兵士たちは擦れ違い様に驚いた顔をして皆ピダムの方を振り替えった。
黒衣を羽織った長身の美丈夫はそのすらりと伸びた長い脚を十二分に活用して春の柔らかな日差しを浴びて色とりどりの花々が咲き乱れる内苑を『疾風』の如くに通り過ぎて行った。

なだらかな丘を登り通称『桜海苑』と呼ばれる桜の園の全てを見渡せる場所まで来ると目の良いピダムは薄紅色の海に抱かれて眠る愛しい女人の姿を目敏く見付け頬を弛ませた。

お待たせしてしまったか…

ピダムは眠っている女王を起こすまいと足音を立てずに女王の元へと近付いて行った。
そうして女王の眠る椅子の直ぐ横に立ったピダムは女王がいつもの正装とは違った女王らしからぬ装束を着ていることに驚き、またその可愛らしい寝顔を少しでも近くで見たいが為に息を潜めて屈み込んだ。

陛下…
もしやそのお姿は私の為に?

目を細めて女王を愛しげに見詰めるピダムの姿は初恋を知ったばかりの少年のようにはにかんで見える。
そんなピダムの上にも女王の上にも風がそよりと吹く度に薄紅色の花弁がはらはらと舞い落ちる。
桜に囲まれた長閑な空間に美しい一対が羽根を畳んだ蝶のように寄り添う風景はまるで一幅の絵。
木陰に身を隠して二人を見詰めるお付きの女官たちは各々が心の中で溜め息をつくほどに煌めいていた。

「んっ…」

暫くすると女王の口から小さな声が漏れたのにピダムは気付いた。

「陛下…こんな所でお眠りになったらお風邪をお召しになりますよ。陛下、陛下…」

聞き慣れた良く響く声を耳にした女王はそれが夢の中なのか現実なのか一瞬解らなくなったが…
落ち着いて考えて見ると己が居眠りをしていることに気付き、閉じた眼を開こうと意識を集中し始めた。
何度か瞬きを繰り返した後、女王はようやっと眠気に打ち勝ってそっと目を開けるとそこには幻ではなく己がその到来を待ち望んだ愛しい男の生身の姿があった。
女王は幾分寝惚けた子どものような声音で

「ピダ、ムか…いつからそこに?」

ピダムは真っ白な歯を見せながら微笑むと

「ほんの少し前からです、陛下」

そう言って桜の花よりも鮮やかに再び微笑んだのだった。
女王もピダムのあまりにも眩しい笑顔に釣られて微笑みながらも

「それなら直ぐに起こしてくれれば良いだろうに…」

と少し拗ねて見せた。
ピダムにはそれが女王の本心からの言葉でないことが解っていたので

「陛下の寝顔があまりにお可愛らしくて…私はお側に侍りそれをずっと見ていたかったのです」

並みの男が言うには歯が浮いてしまうような甘ったるい愛の言葉を何の躊躇もなく堂々と言って見せるピダム。
何事もなかったように表情を変えないピダムに見詰められて、流石の女王も気恥ずかしさから頬や耳を真っ赤にしながら

「そ、そうか…」

とそれ以上は言葉を紡げなくなった。



続く



☆最後までお読み下り、ありがとーございましたm(__)m
もう少し続きます♪
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Category - 連載4 『司量部令の一日』完結

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