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SS私のピダム 風の歌声 -子守唄-



皆様、こんばんは(^o^)/

今日は『母の日』ですね~

そこで、母に関わる話を幾つかしたいと思います。

先ずはまたまた「傾城の皇妃」で(笑)

例のチーヨウ皇子と皇后の仲違いの原因が解りました!

チーヨウ皇子は生まれて直ぐに皇后から離されて育ちました。

王家のしきたりなんだそうですが、育ての母となった王の寵姫にチーヨウはなついてしまいます。

母である皇后は身を切る思いで泣く泣くチーヨウを諦めます。

そして20年が経ち。

その王の寵姫にそっくりなフーヤーが目の前に現れます。

皇后はフーヤーを亡き者にしようと企みます。

その一方で自分を殺せと訴えるチーヨウ皇子に涙ながらに訴えます。

「子は母の肉体の一部だ。お前を殺すことはできない」

そして皇后は部屋から去り、土砂不利の雨の中で「お前を愛しているのに」と泣きながら絶叫します。

何だか皇后が気の毒に思えました。

母の愛は深くて強い。

何とかこの二人の絆が再び結ばれるように管理人は祈りますm(__)m


この一家とは反対に我が家では… 朝目覚めると管理人の大好きなビールの箱がドカーンと置いてありました(管理人も一応母やってます(笑)

ああっ、平和な我が家(←いえ、色々ありますが)

日々の平穏な幸せが一番の幸せですね~

前置きはこの辺りにして…

今夜のSSはピダム&ミシル親子の関係を少しだけ書いて見ました。









春から夏へと季節がうつろい行くある晩、女王は見晴らしの良い楼閣で月を見ようと、その階段を登ろうとしていた。

三日月が足元を照らしているだけで辺りは闇に包まれた静寂の世界。

頬を撫でる風と共に歌声が聴こえてきた。

ピダムが楼閣の端に座って切ない声で恋歌を吟っている。


月の雫を掻き集めるには

金の器が必要か、銀の器が必要か…

君の心を留め置くには

金の器が必要か、銀の器が必要か…

そのどちらも留め置くのは難しく

暁が東に昇る刻、君は羽衣を纏い

褥を離れて天に帰る

君の面影を抱き締めて独り寝むれば

褥は泪の湖に変わる



女王がピダムの切ない歌声を聴いたのはこれが二度目のことだった。





***

まだ王座に着く前のミシルの乱の折りに初めてそれを聴いた。

一時は神国全土を巻き込んでの内乱に発展するかと思われた乱もミシルが自決したことで終結し大耶城は開城された。

そのミシルの自決を眼前で目撃したピダムがどういう訳だか自暴自棄になり、馬を走らせ失踪した。

女王は戦いの事後処理よりもピダムを追うことを優先した。

その時はピダムを追うことが最も大切なことだと直感したのだ。

その直感は当たっていた。

もしも女王がピダムの後を追わなければピダムは二度と女王の元には戻らなかっただろう。



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漸くピダムを捕まえて、枯葉が積もる山の拓けた場所でピダムを問い詰めた。

するとピダムは思いがけないことを口にした。

「母です。ミシルが私を産んだのです」

そして女王はミシルがピダムの産みの母であることを知った。

「ミシルが息子と認めないのに、どうして私がそれを言えましょうか!」

「それでも話して欲しかった」

「でも、話したとして…公主様にまで見捨てられたら…」

同時にピダムの孤独と深い哀しみを知ることとなった。




**

ミシルが亡くなったその夜遅く、大耶城の中庭で一人ぽつりと岩に座って星空を見上げるピダムの姿があった。

今にも泣き出しそうな潤んだ眼をしたピダムは膝を抱えた幼子のようだった。

そんなピダムの様子を女王は少し離れた所から見守っている。

耳を澄ますとピダムが小さな声で歌を口ずさんでいるのが分かった。



我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…

昼は日がな一日母の背で

夜は夜がな夜通し父母の間で

眠れぬ夜がないように

星屑を夢に振り掛けよう



柔らかい旋律と少し哀愁を帯びた歌声が女王の心に響く。

ピダムはミシルを想って吟っているのだろうか?

ピダムを捨てたミシル、そんなミシルを怨みながらも心の何処でミシルを愛していたピダム。

母と言う存在は人にとって格別な存在なのだから…

そんなピダムの心の内を彼是想像しながら、女王は育ての母ソファと過ごしたタクラマカンの夜を思い出した。

凍てつき乾燥した砂漠で実の母のように世話を焼いてくれたソファ。

女王にとって母と呼べる存在はソファしかいなかった。

幼い頃にソファが歌ってくれた西方の子守唄にも似たピダムの歌を聞いた時、女王は砂を鳴らして吹き去る風の歌声を聞いたような気がした。





***

あれから幾年…

今夜の歌声も風と共に女王の耳に届けられた。

天女のような愛しい女をずっと抱き締めていたい。

ピダムがその言葉を吟ったのを聴いただけで女王の五感は痺れ、心はピダムの元へと吸い寄せられていく。


「ピダム…此所にいたのか?」


「陛下…」


「久しぶりにお前の諳じる声を聴いた…」


「…」


「謹慎御苦労だった」


そう言ってピダムに満面の笑みを送った。


ピダムは司量部の文官と地方貴族の癒着、莫大な金額の公金横領の為に1カ月の謹慎処分になり、出仕を今日まで止められていたのだ。

その決定はピダムからしてみれば女王に拒絶されたようにも思えることだった。


女王はピダムに近付こうと一歩二歩と歩き出した。

ピダムは胸を押さえながら


「陛下、それ以上私に近付いてはなりません!今宵、私の胸の修羅が騒いで、自分が抑えきれそうにありません」

情欲に燃える眼を女王に送り、更に続けた


「実のところ、その修羅を慰めようと歌を吟っておりました」


女王はそんなピダムを包み込むような慈愛を湛えた眼差しで見詰め、その名を呼ぶ


「ピダム…私もお前に会いたくて…」

女王はゆっくりとピダムに近付き、あの日と同じように右手でピダムの頬を撫でると身体を寄せてピダムを抱き締めた。

ピダムは女王の右肩に顎を乗せて、やはりあの日と同じようにおずおずと女王の背中に腕を回して女王を抱き締め返した。


「陛下、陛下、陛下…」

ピダムは情欲を抑えきれずに女王を楼閣の床に押し倒すと、女王の唇や首筋、項に次々と口付けを落としていった。

女王は微かな矯声をあげながら、暫くピダムのされるがまま、身体をピダムに預けた。

袷を拡げて胸の谷間にピダムが口付けを繰返し、愛の証を刻み付けようと女王の皮膚を強く吸おうとした時、女王は吟い始めた。


我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…


ピダムの動きが止まり、女王の薄茶色の瞳を見詰めながら女王の諳じる歌に耳を傾けている。


昼は日がな一日母の背で…

夜は夜がな夜通し父母の間で…

眠れぬ夜がないように…

星屑を夢に振り掛けよう


女王はピダムの背中をとんとんと叩きながら、ピダムに吟い聴かせるようにこの上なく優しい声音で何度も吟い続けた。

暫くするとピダムは女王の胸に顔を埋めて泪を流し始めた。

女王はピダムに向かって


「ピダム…私は今宵お前の恋人であり母にもなろう。お前の想いを私にぶつけるが良い」


そう言ってピダムの頭を撫でるとピダムは顔を上げて


「陛下…もう一度吟って頂けますか?」

そうやっと言葉を絞り出すと女王の胸に再び顔を埋めた。

女王はゆっくりと吟い始めた。


我子よ、我子…

眠れよ、眠れ…

昼は日がな一日母の背で


何故その歌を女王が知っているのか?

ピダムは不思議に思いつつも…

そう吟った女王の声の向こうにピダムは亡き母ミシルの風の歌声が聴こえたような気がした。

生まれて直ぐに自分を捨てた母ミシル。

母と呼ばせてくれなかったミシル。

だが、自分が決して愛されていなかった訳ではないことに薄々気付いてもいた。

殺そうと思えば殺せたのに、殺さなかった。

愛情と憎悪は同じところに存在する。

自分とミシルの関係は将にそれだ。

女王に抱かれながらもミシルのことを考えている自分。

ピダムはそれも許せなかったが、同じ想いを知る女王だからこそ全てを預け、全てを受け入れられることも解っていた。

心を重ねられる相手に出逢えた幸せは、結局はこの世に自分を産み出してくれた母がいてくれたお蔭なのだ。

それを少しずつ理解し受け入れることでピダムは成長する。

女王はそれを菩薩のように静かに見守っている。

今宵の褥では女王の大きな慈愛の翼がピダムを包み込んで、その身を雲の上の高みへと導く。

男の横たわる褥はその名の通り雲になる。


そうして、褥に眠る子らの上に母たちの吟う子守唄が時々風の歌声となって吹いて来る時があると言う。



☆最後までお読み下さり、ありがとうございましたm(__)m

管理人のブログのタイトル『風の歌声』

最初、ナムギルさんの歌う声をイメージしてこの名をつけました。

ですが今回は、亡き母の声が風の歌声となって、子どもたちの耳に届く。と言う話になってしまいました(^_^ゞ

風の歌声は切ない感じがするので、子守唄でも良いのではないかと管理人は思います。

幼い頃に聞いた母の子守唄を思い出しながら…

テヤンから全ての母に感謝の気持ちを込めて(^^)/\(^^)
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