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蘭陵王 SS月下の杯
皆さん、こんばんは(^o^)/

お久しぶりです♪
長い間blogを更新出来なくてご免なさ~いm(__)m

今宵は久方ぶりにSSをUPします。
ピダムではなく『蘭陵王』です。



ピダムのSSも後少しで書き上げられそうなんですが…
その最後の最後が結構難しかったりするんですよね~(°∀°)
気長にお待ち頂けると嬉しいです。

hさん、拍手コメント返信出来なくてミアネヨ~。
しっかり読んではいますので返信お待ち下さいね~



ではでは宜しければ続きをポチっとしてお読みになって下さいね~>^_^<




何れそう遠くない将来…
いや、出来ることなら今直ぐにでも蘭陵王・高長恭が尚書令の職を辞して野に下る。
それは長恭の命を守る唯一の選択肢であり、斉の皇族として長恭の置かれた非常に難しい立場を知る者全ての願いでもあった。
だが国と民とを憂う長恭が己の保身の為に皇帝から賜った尚書令と言う地位を容易に辞職することが出来ないことも充分に理解していた雪舞たちはどうにかして長恭を皇宮から遠ざけようと本人には秘密裏にある計画を進めていた。
先ずその手始めとして長恭の右腕とも言える五弟・高延宗が叔父に当たる斉国現皇帝高湛に長恭の一時休職を願い出た。
まだ跡継ぎのいない蘭陵王家の子孫繁栄の為に天女と睦合う時間が欲しいと言う至って単純な理由で五弟は叔父を説得したらしかった。
自分の知らぬ間に休職が決まった長恭は最初は渋って見せたが結局は己を心配する皆の想いを受け入れると雪舞だけを伴って幼い時分に母と暮らした思い出の湖畔の家へ向かって出立することを決めた。

この地へ到着して直ぐに『軍神が花の種を撒くなんて意外だ』と雪舞に冷やかされながら長恭が撒いた花の種はすくすくと育ち、数日前から桃色や紫色の小さな花を見事に咲かせていた。
唯、残念なことに花壇の一角を彩るその可憐な花たちが雪舞の好みに合っているのかどうかはまだ明らかにされてはいなかったのだが…。

皇宮での息詰まる権力闘争からひとまず開放された長恭の体調は万全で毎朝日の出前に目を覚ますとまず始めに愛馬踏雪の体を金櫛で擦って毛並みを整えるのを日課としていた。



それを終えると桶いっぱいに水を汲むこと数回、庭にある全ての草木に水やりをし、踏雪にも水と飼い葉を与えて…
更に時間が余る時は厨房で米を炊き豆や芋殻を煮て朝食の準備にも余念はない。
そうこうしている内に長恭よりも遅れて目覚めた雪舞が扉からひょっこりと顔を覗かせて元気な声で『殿下』と言ってこちらへ向かって駆け寄って来る。
これも何時しかほぼ毎朝の恒例行事となり…
長恭は両腕を大きく拡げて『こっちへお出で』と言わんばかりに首を左に少し傾け微笑みながら雪舞が胸の中に飛び込んで来るのを待つ。
身の軽い妻のしなやかな体がぱふんと胸に当たると同時にほんのりと漂う妻の甘やかな香り。
毎日繰り返えされる愛する妻を腕(かいな)に抱くこの瞬間が長恭にはこの上なく幸せなことに感じられた。
誰に干渉されることなく…
時間に縛られることもなく…
己の想いと愛する女人の想いが重なる至福の時。
王としてではなく唯の阿土と氷児と言う夫婦でいられるこの一時。
腕の中にいる雪舞に向かって長恭は毎朝飽きずに同じ言葉を繰り返す。

「雪舞、おはよう。良く眠れたか?」

雪舞は頬をぷくりと膨らませて上目遣いで長恭の顔を睨みながら

「もう、朝一番は氷児と呼ぶと言ったのは何処の何方でしたっけ?」

と時々約束を違える長恭を叱って見せた。

「ああっ、そうだった。氷児…良く眠れたか?」

「ふふっ…ええ、阿土、良~く眠れたわ」

と雪舞はにっこりと笑いながら背の高い長恭の鼻先に自分の鼻先を付けようと背伸びをした。
それに合わせるように長恭が下を向く。
鼻頭が擦れ合い…
何時しか唇がそっと重なり合う。
昨晩も夜が更けるまで身も心をも解け合わたばかりだと言うのに今日も早朝から飽きることなくじゃれ合う二人。
そんな二人を見守るのは愛馬踏雪と東の地平線から顔を覗かせたばかりの朝日と庭にある草木たちだけ。
蕩ける程に甘く穏やかな時間がゆっくりと流れ…
そよ吹く風が天空にぽかりと浮いている雲を動かして行く。


カツッカツッカツッカツッカツッ…
地面を振動させながら遥か遠くから響いて来る馬の蹄の音。
人の耳には未だ届かぬその音にブルルルルと一声鳴いて異変を知らせたのは踏雪だった。
愛馬の嘶く声に長恭ははっとして雪舞の柔らかな唇からそっと唇を離すと直ぐ様地面に這いつくばり片耳をぴたりと地面に着けた。
事態を確認し終えた長恭は起き上がると幾分険しい表情で

「雪舞…家の中に直ぐに入りなさい」

と静かにそう命令を下した。
それを聞いた雪舞は不安げな表情をして

「殿下…どうかしたの?」

「馬の蹄の音が近付いて来ている」

「えっ?五弟からの使いではないの?」

長恭は眉間に深い皺を寄せながら

「五弟からの使者は昨日来たばかりだ。火急のことでもない限りこんな早朝から二日続けて使いを送って来る筈がない」

「殿下…」

「念の為、君は部屋の中へ、さあ急いで!」

どんどんと近付いて来る忙しい蹄の音。
此処へ到着してから昨日まで然したることもなく穏やかな時間だけが過ぎるだけだった二人の田舎暮らしに初めて緊張が走った。
だがしかしどういう訳かそれまでどんどんと大きくなっていた馬の蹄の音は小さな集落を仕切る門の辺りでぴたりと止んでしまった。
それを不審に思い様子を伺うように耳をそばだてる長恭。
するとパカッパカッと平時の蹄の音と共に見事な黒毛の馬の手綱を引きながら姿を現したのは周国皇帝宇文邕の側仕えであり禁衛軍の首魁である宇文神挙であった。
伝説の神獣麒麟の模様が金糸で縫い取られた周国禁衛軍の黒衣に身を包んだすらりと背の高い美丈夫は門前までやって来ると手綱を門脇に繋ぎ、花咲き乱れる美しい庭に一人佇む蘭陵王・高長恭に向かって深々と頭を下げた。
そこから一直線に長恭に歩み寄ると懐から宇文邕からの親書を取り出して長恭の前に差し出した。

「我が主からです」

そう告げた神挙は微動だにせず直立不動の姿勢を取っている。
親書に目を通し終えた長恭は敵国の武将である己にも礼を欠かさない律儀な神挙に向かってこう返事をした。

「貴公もご苦労なことだ。宇文邕…いや阿怪に承知したと伝えてくれ 」

神挙は両手を胸の前で合わせて神妙な面持ちで

「はっ、蘭陵王並びに王妃にはご迷惑をお掛けする」

「いや、貴公こそ苦労が耐えぬな」

長恭はそう言って神挙の肩をポンポンと叩いて彼を労うと門の外まで出て馬上の神挙の姿が見えなくなるまで彼を見送った。
二人のやり取りを扉の影に隠れてじっと見詰めていた雪舞は部屋の中へと入って来た長恭に早速質問を浴びせた。

「殿下…阿怪は何と言って来たの?」

「雪舞…宇文邕…いや阿怪が今宵ここへ来たいとそう言って来た 」

「えっ?今夜?ここへ?」

「そうだ、今夜、ここへだ」

「それで殿下は何と返事をしたの?」

長恭はにっこりと微笑むと

「無論、阿怪としてやって来るのなら何時でも歓迎すると…」

雪舞は長恭の言葉が終わらぬ内に長恭に抱き付き

「流石、殿下…嬉しいわ」

「宇文邕が来るのがそんなに嬉しいのか?」

眉間に幾分皺を寄せ拗ねているように見える長恭に雪舞は首を左右に振りながらこう答えた。

「ううん、私も殿下と同じ。 宇文邕でなく阿怪が来るから嬉しいの。だって阿怪は間違いなく殿下の領地の村人の一人だった。それに私たちが阿怪と阿土と氷児として会えるなんて、これ以上に嬉しいことはないわ!」

「確かにそうだな。私も此処にいる間は蘭陵王ではない。 宇文邕が周国皇帝としてではなく阿怪としてやって来るのなら私も阿土として会えば良い」

雪舞が嬉しそうに

「ええ、殿下」

「こんな機会は二度と訪れないかもしれない」

「ねぇ、殿下…折角だからご馳走を作れましょうよ」

「よし、雪舞…斉の料理で阿怪をもてなしてやろう」

「ええ、殿下!」

二人は朝食を済ませると仲良く手を繋いで近くの農家へ食材を分けて貰いに出掛けた。
今宵訪れるであろうささやかな宴の為に二人は思い付く限りの『おもてなし』を阿怪の為に準備し始めたのだった。



***
夜空にあるは天満月(あまみつつき)
灯火が無くとも人の顔がぼんやりと見える程に明るい。



庭のほぼ中央に鎮座する桃色の花をたわわに咲かせた木槿の樹。
その側に建つ東屋で杯を交わす影三つとそれを見守る影が一つ。
卓上には雪舞と長恭の作った斉の料理が並び、素朴な土器を満たしているのは都を出発する時に祖母である皇太后がこっそり持たせてくれた極上の御酒だった。
長恭は酒瓶を手に取ると先ず宇文邕こと阿怪の杯に並々とそれを注ぎ、次いで雪舞と自分の杯も満たし…
側に立っている神挙に目で合図を送った後、杯を持ち上げ

「今宵は心行くまで飲もう。阿怪と阿土と…」

雪舞に視線を移しながら

「我が妻、氷児と。この再会を祝して乾杯!」

「乾杯!」

一気に酒を飲み干すと直ぐに杯を酒で満たす長恭。
対する宇文邕は斉の料理に舌鼓を打ちながら一杯目をゆっくりと味わいながら飲んでいる。
他愛もない会話だったが食卓には笑いが溢れ…
差しつ差されつで杯を重ねる三人。
驚く程に穏やかな時が過ぎて行く。

先程までけらけらと笑いながら二人の男が真剣な表情で熱く語る武勇伝を聞いていた雪舞は杯に注がれている三杯目の酒を飲み終えることなく隣に座る長恭に寄り掛かってすやすやと寝息を立てている。
宇文邕は長恭の肩で安心仕切った様子で眠っている雪舞の様子を口角を上げながら見詰めている。

「相変わらず仲が良いのだな」

「仲が良いと言うより雪舞が酔って私に寄り掛かっている…そんな状態なのだが…」

「ははっ、高長恭いや阿土殿と呼ぼうか。何も今更、照れることもないだろうに…」

そう言ってニヤニヤしながら此方を凝視している宇文邕。
何処と無く落ち着かない長恭は雪舞を抱き上げると

「雪舞を寝かせて来る。少し待っていてくれ」

「ああっ」

宇文邕は振り向きもせずにややぶっきらぼうに返事をすると杯を酒で満たし一気に飲み干した。
再び杯を満たして夜空を見上げると孤高の月が煌々と輝いている。
思わず「美しい」と溜め息交じりで呟いて酒を飲もうとすると杯の中にも美しい月が映っている。

「残されし我一人。このまま(杯の中にいる)そなたを連れて帰ろうか…」

そうぼそりと独り言を言うと寂しそうに笑った。
そんな主君の様子を黙って見詰める神挙の影も何処と無く寂しげで…
二人のしんみりとした様子を目にした長恭は雪舞を寝台に寝かせて建物から出ては見たものの暫く黙って遠くから二人を見守ることしか出来ずにいる。
戻るに戻れずにいた長恭はそれならと新たな酒瓶を台所から調達してから元居た場所に静かに腰を下ろすと空っぽだった己の杯を酒で満たし一気にそれを飲み干して

「友と交わす月下の杯。友誼が末長く続くことを願って…」

そう言って再び空になった杯を宇文邕の目の前にかざして見せた。
すると今度は宇文邕が

「高長恭、我々は何れ雌雄を決せねばならない時が来るだろう。だが今は私もそなたと同じようにこの平和な時間が少しでも長く続くことを願うばかりだ」

と言ってから一気に酒を飲み干した。
それから二人は何も語らずに長い間杯を重ね合った。
語らずとも解る互いの想い。
最たる願いは天下太平の世を築くこと。
そして出来うることなら愛する天女と生涯を共にすること。
無言で酒を口に運ぶ男たちを今宵幾万の星々の光を消し去る程に輝く天満月の煌々とした光が優しく包み込み…
直ぐ側に侍る神挙と踏雪とが二人を温かく見守っている。

その頃、寝台で眠る雪舞は夢を見ていた。
乱世が終わりを告げた天下太平の世。
桃の花が咲き乱れ小鳥たちが愉しげに飛び交うあの懐かしの白山村に良く似た村に響く子どもたちの元気な声。
兎や雉を肩に掛け狩りから戻ったばかりの父親らしき背の高い男と笑顔でそれを迎える乳飲み子を背負った小柄な妻と…
家の直ぐ側で遊んでいた子どもたちが父親の姿を見付けて急いで駆け寄って行く。

「今、戻った」

「貴方、お帰りなさい」

「お帰りなさい、父上」

まだ幼い娘を抱き上げて頬擦りしながら妻と娘に挨拶をする父親。

「只今、雪舞、柳絮」

後からやって来た息子が背の高い父親の澄んだ眸をじっと見ながら質問をした。

「父上…何が捕れましたか?」

「見ての通り。兎と雉に…それより平安、今日もしっかり勉学に励んだのか?」

「はい、父上」

屈託なくそう返事をした息子の頭をくしゃりと撫でた父親は満足そうに微笑んでいる。
妻はにこにこと笑いながら背中の乳飲み子の尻をぽんぽんと叩き眠りへと誘う。
夕暮れ時に互いの無事を喜び合うごく普通の家族の光景。
それは雪舞の夢見るささやかな夢であり…
雪舞が描く愛する夫・長恭と子どもたちとの未来であった。
雪舞の願いも又同じ。
命のやり取りのない平和な世界がこの世に訪れることに違いなかった。


今宵漆黒の空に輝くは天満月。
その白き輝きは天女が現世(うつしよ)の人々に施す慈愛のように温かく人々の心の隅々までを照らし出す。
久方ぶりに再会を果たし交友を深めた三人にとってかけがえのない夜は静かに静かに更けて行った。





終わり。






☆最後までお読み下さり、有り難うございましたm(__)m
あの湖畔の家で愉しげに暮らす雪舞と長恭。
そこへ宇文邕がお忍びで遊びに来たらどんなに良いだろう!
そう思ってこのお話を書いて見ました。
久し振りに書いたので上手く描けていないかもしれませんが…
足りない部分は皆さんの想像の翼を拡げて頂けると嬉しいです♪


☆写真はあくまでイメージです♪
あしからず(^^ゞ














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Comment - 1

テヤン

しょこらさんへ

しょこらさんへ


こんばんは♪
拍手コメント、ありがとうございましたm(__)m
そして返信が遅くてごめんなさいね~🙏💦💦


>蘭陵王、大好きな作品です。
こんな幸せな二人の物語が読めて幸せです!

『蘭陵王』良いですよね~~✴
私も昨年の夏のLaLaTV放送時に殿下の薄茶色の眸に吸い込まれて…ファンになりました♥
最後がとても切なかったので…二人の幸せな時を綴れたら良いなぁと思い…
陛下を特別ゲストにお迎えしてSSを書いて見ました。
この作品の雪ちゃんの夢…
原作では雪ちゃんが死んだことにはなっていないので…二人は(いえ、平安入れたら三人)何処かでひっそりと暮らしてます。ってお話も書けたら…と思っています。
題して『パパは猟師、ママは先生』
或いは『パパはファーマー、ママはテーチャー』なんてね(笑)

また遊びにいらして下さいね~~
お待ちしています☺

2015/04/14(Tue) 00:32

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